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セミが鳴く前に

作者: 南波

歩いている時は異様に頭の回転が速くなる。帰ったら今日はお風呂に高い入浴剤を入れて出たらお酒とおつまみを食べながら優雅にパックでもしよう、と。

私はその通りになった事がない。

帰宅するとすぐにダル着に着替えてしまい、ダラダラとお酒を飲んで着てた服なんか床に散らばりっぱなし。お風呂なんて次の日になってしまう、しかも急ぎのね。

もし側に西野カナがいるなら「ねぇdarling」なんて言ってくれるかもしれないけどこの先西野カナと一緒に暮らす予定もないしこの自堕落な生活が曲にされてTSUTAYAなんか行くと私のダメダメ生活が大音量で流れるなんて考えるだけで悍ましい。


今日もそんなしょうもない事を考えながらお笑い番組を見ていつもの事をしてるけど、番組が面白くなかったのもあるのか、珍しく昨日干した洗濯物を取り込もうと思った。

夜の空気に包まれてると変に言葉が出る。

「これ乾いてる」

「これも乾いてる」

「正味全部乾いてるわ」

何を言ってんだか、鼻で笑って全部取り込んだ。

夜って澄んだ香りがする。どこか懐かしい。

もうすぐ夏なんだな。


ついだから最後に振り返って夜空を見た。

そこから私の予定では家の中に戻って明日洗濯物を畳もうなんて考えてから番組見ながらもう少し飲んでから寝ようとか思ってた。

でも予想外の事が起きた。

月が近い。天女がいる。謎に昔の(なんて言うんだろ平安時代の楽器みたいな)琴?笛?のメロディーなんか流れちゃって、今日の私は飲みすぎだ。

ああ、もう寝よう。こんな幻覚見れてラッキー、ツイートでもしよう。

でもこんな事って、本当にある?こんなハッキリと、音楽まで。


「かぐや姫様、早めのお迎えを、との事でしたので早めにお迎えにあがりました」


あ、喋った。

人間とはこう言う時に変に冷静になる。

私は確信した。

やっぱり幻覚だ、理由は3つ。まず1つ目、平安時代の衣装を着てるのに現代語を使っている、2つ目、私は迎えなど要していない、3つ目、ここには私しかいない、以上。


あー戻って洗濯物でも畳むか。

明日も仕事だ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 気怠げな主人公の生活に激しく共感してしながら読みました。 西野カナの使い方が絶妙ですね笑。 主人公はただ幻覚を見ていただけなのか、それとま本当に……だったのか、気になります。 確かに夜って澄…
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