表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

婚活を始めた勇者は(女性から)モテるのに結婚できない

作者: 1歩
掲載日:2021/11/08

御伽話では魔王を討伐し、世界を救った勇者はその国の姫と結婚するのが極めて一般的である。

では、勇者が女性だった場合、そしてその国の王子はすでに既婚だった場合、どうなってしまうのか。


それが私(元勇者、現在無職、31歳)である。同じ討伐チームにいた聖女はタンクだった騎士といつのまにか恋仲になっており、魔法使いの公女は許嫁と結婚するという。


(あれ、私この後どうするの、、?)

背中に冷たい汗が流れる。孤児だったため帰る場所もなく、婚約者などいるはずもない。


無我夢中で魔王討伐に向けて活動していたため、自分のやりたいことなんて一度も考えたことがなかったとふと気づく。ずっと5人で活動していたからか、1人で過ごす夜はとても寂しい。地位も名誉もお金もこの孤独を癒してくれないし、自分のことを受け入れてくれる誰かと、穏やかな生活を過ごしたい、そんな思いがこみ上げてきた。


そうだ、結婚しよう。そう決意し、勇者は結婚パーティーに参加することを決めた。




しなやかな筋肉と高身長、素人が見ても明らかに高級とわかる機能的で洗練された装束。ゼロコンマ1秒以下の中で少しでも早く動けるように短く切りそろえられた髪と整った顔立ち。一際目をひく魅力的な人物の登場に、「こんな優良物件がなぜ残っているの?」と、場は一瞬で狩場と化した。


「あの、よろしければ私とそちらでお話しませんか」

「私、〇〇商会の長女でして、持参金は2億ベルーまでお持ちできますわ。」


勇者は戸惑っていた。パーティ現場に入ってから、なぜか女性に囲まれてしまい、肝心の結婚相手候補(男性)と接触する機会を持てないのだ。


女性たちの獲物を狙う目に耐えられず、冒険中に鍛えた高速移動術を駆使してなんとか壁際に避難する。が、その後も女性から耐えず話しかけられ、パーティーの時間が終わってしまった。



結果から言おう、婚活パーティー出禁になった。なんでーーーーー???

私がいると、他の男性が霞んで営業妨害となるらしい、ええええ。


その後も婚活を続けるが、「立派な筋肉ですね」とか「子供が欲しくて少し年齢が、ごめんなさい、、」などと言われ、(もはや財産目当ての人でもいい)と思い、結婚に近づいても、不貞行為を禁ずる血の盟約(破るとそのものの魂を奪う契約)を結ぼうとしたら逃げられるなど、結局私は独り身で短い生を終えた。


次の瞬間、目を開けると、炎の中だった。

火葬ではなく、これは魔王との戦いの途中だ、そう気づき、戦闘モードに切り替えたところ魔王が呼びかけてきた。


「ユーリよ、そなたは強く美しい。人間界への進攻をやめるので結婚しないか?」


「え」時が止まる。そして魔王のその赤い目を見た。御伽噺のご多分に漏れず、美しい顔立ち、そして私に匹敵する強さを持っている。何よりも、「私」に興味を持ってくれた。名前を呼ばれたのは10年ぶりである。その瞬間、私は剣を今までにない速さで魔王に近づき魔王の首筋に剣を当てた。「一生愛するという血の盟約を結ぶか?」

魔王は剣をおき答えた。「いいだろう」


そして、私は人間界で10年かけて築いた地位も名誉も捨て、魔王に嫁いだのだった。

後悔など一ミリもなく、ただ、自分の「本当に欲しいもの」を見失わなくてよかったという深い満足感だけが残った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ