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蝶のはばたきを君に  作者: ずんだ餅
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出会い

ー6月17日ー


今日は、朝からクラスが騒がしい。読んでいた本から目を離し、雨の降る景色を眺めながらふと考えてみた。ああ、そういえば今日は、転校生が来る予定だったな。

まぁ、僕には関係の無いことだが、読書の時間を邪魔されるのは正直気分が悪い。

「よ〜し、HRやるぞ〜。その前にお待ちかねの転校生紹介タイムだ。入っていいぞ〜。」

今まで廊下に待たされてたのかよ。可哀想に。そんなことを考えていた僕は、転校生の様子を全く見ていなかった。この時までは。

「あの人、昨日の店員じゃね?」

七瀬に言われて始めて気づいた。確かにそうだ。しかし、昨日とは少し違い、髪は、ストレートのロング。化粧は、リップを塗ったように見える。いかにも「清楚系」という見た目だ。この姿だったら七瀬が好むのも理解出来る。

「初めまして。道畠結華です。よろしくお願いします。」

「よろしく。じゃあ、道畠さんの席は…柳の隣な。道畠さんあそこの読書に勤しんでいる奴の隣の席ね。」

先生の一言で彼女は、僕の方に向かって歩いてきた。僕の隣に来た彼女は「よろしく。」と一言だけ言って着席した。


「疲れた。」

今日は、一日が長かった気がする。朝のHR後いつも通りの授業だったのだが、休み時間になる度に、隣の席へ多くの生徒が集まってくる。僕は、当然逃げるようにその場から立ち去っていたので今日は、全くと言っていいほど、読書ができていない。幸い今日は、七瀬が部活のため一人で帰ることが出来る。家に帰ったら絶対読書をしよう。

「今から一人で帰るの?」

「え?」

下駄箱で靴を履き替えていると道畠さんが声を掛けてきた。僕は、何が起こっているのかわからずフリーズしていた。

「お〜い。聞こえてる?柳くん。や〜な〜ぎ〜くん。」

「な、名前なんで。」

急に名前を呼ばれあたふたしながら道畠さんに聞いてみる。

「え?あぁ。ロッカーに書いてある。」

「ほんとだ。」

「で。1人?一緒に帰らない?」

「え?は?」

今度は何を言うのかまた僕の頭は、フリーズした。

「またぼ〜っとして。面白いね。柳くんって。」

「一緒に帰るの?なんで?」

「いや〜。一緒に帰る友達もいないし、隣の席の柳くんとも仲良くしたいしね。」

このまま断っても着いてきそうなのでここは、定番のセリフを言ってみる。1回行ってみたかったんだよな〜これ。

「す、好きにすれば。」

「ふふ。じゃあ、好きにさせてもらいます。帰りどこ寄る?」

「どこも寄らないよ。」

あれ、意外と喋れているな。これから仲良くできるといいな。そんなことを考えながら、結局その日は、コンビニでジュースだげ飲んでそこで別れた。そう言えば、いつの間にか空は、晴れて虹がかかっていた。

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