在りし日の日常
『バタフライ効果』それは、蝶の羽ばたきによって起こった微細な風が地球の反対側の竜巻に影響を与えるという考えに由来し、小さなことが大きな事へ影響を与えるという論理のことである。思えば、僕と君との出会いも、小さなことだったのかも知れない。
ー6月16日ー
「今日の帰りどっか寄らね?」
僕の元に1人の男子生徒がやってくる。こいつは、七瀬陽太。見た目は高校デビューに失敗したためヤンキーのようだが、中身は意外と真面目だ。僕と七瀬は、小学校からの腐れ縁で、高校に入った今でもよく絡んでくる。正直苦手なタイプだ。
「あぁ。」
せっかくの読書時間を邪魔された僕は、しかし断りきれず、いつも通りのやる気のなさげな返事をしておいた。
今日は、6月の割に蒸し暑く晴天である。明日から梅雨入りするというのが嘘のようだ。
「終礼はじめるぞ〜」
やる気の無さげな担任の挨拶でいつも通りの学校生活が終わっていく。
「 ┉ という訳で、明日から転校生が来るからみんな仲良くしてやれよ。」
帰りに、新しい本でも買って帰ろうかな。
「今日の子可愛かったな〜。」
帰り道に溶けかけたアイスを片手に持った七瀬がそう話しかけてきた。
「ああ。」
恐らくさっきのコンビニ店員のことだろう。これといった特徴もなかったのだが、七瀬の好みは、ほんとに分からない。でも、あの人どこかで会ったことがあるような………多分気のせいだろう。それにしても今日は、ほんとに暑い早く帰りたい。