朝食
朝の6時
部屋のインターホンが鳴った。
私はパジャマの上からストールを羽織って、エントランスの画像を覗き込んだ。
買い物袋を持った彼がいた。
エントランスドアを開けて数分すると、玄関ドアのチャイムがなった。
パンと牛乳を持参していた。
「なんで、パンと牛乳なの?」
『朝って、パンだと思って』
「おにぎりとかスープとか、サラダとかとかでしょ」
『そうなんですか、朝は食べないので』と彼は言い訳をした。
なに、その口答え。
私はお皿にパンをのせ牛乳を彼の目の前で捨てると、代わりに冷蔵庫からとフルーツを取り出して、彼の前で朝食にした。彼には朝食の間、一緒にいるように伝えてある。
後片付けをした彼は、足早に登校していった。
いい気味。
朝食を用意した私を尻目に食べずに『急ぐから』と言って、出勤する白が思い出される。
足の腫れは引いたみたいだけど、足取りが重い。
買い物に行かなくてはいけないのだが、その気も薄れる。
テレビから画像が流れているが、頭には入らない。
2日目
彼は牛おにぎりとお茶を買ってきた。
「私、肉系は食べないの」と言って、お茶だけ飲んだ。
出て行ってから、食べた。
5日目
また、彼が来た。定刻通りだ。
今度は野菜一杯のサンドイッチを持ってきた。「ふーん。今日はパンだんだ」
『ごはんは食べないと思って』
「そんなことは言ってないよね。肉系はだべないって言ったよね」
『はい』と彼は答えた。
『どうしたら いいんですか?』
反抗的は態度。
食後、私はため息をひとつつき、彼に買い物を頼んだ。
今晩届けてと、生理用品の空袋を渡した。
白は家でみつけるだけでも、複雑な顔をした。
男子高校生が買うところを想像するだけでも、楽しくなった。