老体と怨念に鞭打つ封念
始めは人々の間を走りながらすり抜けてた封念であったが、途中から人々が壁の様にして固まって居たので、今や、それを避けるのにホームの縁ギリギリを駆け抜けていた。
そうして開けた視界の先に見えたのはスーツ姿の男が、若い男女に襟首を掴まれて、ホームの端にぶら下げられてる光景だった。
そして、それは若い男女がスーツ姿の男を引き上げようとしてるのだと直ぐに分かる状況だった。
封念がこれらを眼中に捉えた時、引き上げられようとしてる男を列車が跳ねる迄、あと数秒のところであった!
駆け寄ろうとする封念は直ぐに感づいた。
本当ならば、この二人の力でなら今すぐに男を引き上げられる筈だと・・・!
(おかしい・・・!?)
そう思い意識を集中した封念は見た。
引き上げられようとしてる男の身体を死地へと引きずり込もうとする、幾人もの亡霊の姿を!!
「ええい!!さらに罪を重ねるか!?」
封念が、自ら放つその言葉も言い切らぬ内に、彼は懐から取り出し右手に持った数珠に一際念を込め、引き上げられようとしてる男の脚に向かって投げつけた!!
数珠は、その質量と空力を無視した軌道と速度で、真っ直ぐに飛んで行った!
その距離、15メール程!!
見事に男の脚に当たった数珠は、一瞬パッと青白い光を放ち、その紐が一瞬で粉々に切れ、珠が散った!
直後!!
宙吊りに成っていた男の体が一気に引き上げられたのだ!!!
そして、その男を引き上げた二人の男女が、余った勢いで引き上げた男の背中で押し潰される様にして後ろへと倒れ込んだ瞬間、非常ブレーキを掛けたままホームに滑り込んだ列車が、彼らが居る目の前を通り過ぎて行った!!
間一髪!
男は助けられたのだった!!




