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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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(ふぅ……なんとかなって本当に良かった……まさかあのタイミングで目眩がするなんて……?)

 そう思った瞬間、何かが引っ掛かった。

(なんで目眩が? ……怪我で頭がくらってしたならよくあったけど……でもそれとはなんかが違うような……もしかしてこの熱にやられたのか?)

 そう思えば思うほど、おかしな点がいくつも上がる。

 疲労は完全に回復しているはずなのに体はだるく、汗が止まらない。頭の回転がいつも以上に遅い。

 そして、最大の点が自分の気付きの遅さ。

 これがもし、最初に俺がこの部屋に入ってきたあの時から少しずつ上げられたものだとするのなら、俺の感覚が狂っていたことにも納得はいく。

 さっきから炎付近にいるせいで、全体がそうなっているとは思ってもみなかった。

(…………もし、この空間全体に広がる熱の量が炎弾の副産物で、父さんの狙いがそれだった場合……日本にいた頃に聞いた蜃気楼って現象が思い浮かぶ……でもあれって確か……)

 そう思った時、自分の疑問という扉に鍵が刺されたような感覚を覚え、ついにやけてしまった。

「そっか! そっかそっか……なるほどなるほど、副産物じゃなく、炎弾を撃つことに意味がある。要するに……」

 俺は父さんの方に向かって剣先を向けた。


「父さんも俺と同じで、条件が必要って訳か!」


 ◆ ◆ ◆


 最初の疑問に思った点は、父さんがクレエラという天使に撃たれたことだ。

 もし、父さんが物理攻撃が効かなかったのであれば、あれをもらうことはなかっただろう。

 あれは果たしてしなかったのか?

 いや、俺の考えが正しければ、おそらく出来なかったが正解だろう。


 優真は、目に見える優雅の元に全速力で向かい、手に持つ刀で目の前の優雅を斬った。

 それは案の定、ゆらめき、消えていく。その直後に轟く発砲音、それを聞いた瞬間、優真はニヤリと笑った。

 そして、炎弾が優真を穿つ。次の瞬間、優真は優雅と同じように消えていった。

 それを見て反応が遅れた優雅、しかし、時既に遅く、優雅の周囲を何かが回り始めた。

 当然、優真だった。

「どんなもんよ? 俺だって一瞬だけなら残像を作ることは出来るんだよ?」

 優真は、その円を徐々に狭めながらそう言ってくる。

 そして遂に、本物の優雅の姿が視界に映った。

「ようやく見つけたよ……散々撃ってくれたんだ……手加減はしないから歯を食いしばっといてね」

 そう言った優真に対して優雅は銃を向けるが、その銃口は一瞬で切られてしまった。

「おとなしくしててよ」

 その威圧的な言葉は、一瞬だけだが、暴走している優雅を気圧させる程の威力を持っていた。


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