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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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「……はぁ!?」

 気付いた時には既に遅く、優真の背中に3発の小型炎弾が放たれる。

(~~っっ!!)

 意識が持っていかれそうになる程の痛みに耐え、優真は歯を食いしばって刀を振るう。

 しかし、優真が振るった横薙ぎは再び空をきった。

「ふざっ!!」

 再び3発の発砲音が轟く。

 左腕を狙われたのか、その内の一発が左の二の腕を穿つ。

 その痛みに涙が出てくるが、次の攻撃を考える余力は今の優真にはなかった。

 急いで炎弾が撃たれた方とは逆側に跳ぶが、直後に左足に一発の炎弾が撃ち込まれた。

「くっ……そ!! ……これが父さんの特殊能力か? いったいどうなってんだよ……」

 左足と左腕が動かせない優真は、飛びそうになる意識を舌噛みでかろうじて保つ。


 時間が経てば、傷は【ブースト】の効果でなんとかなるだろう。とはいえ、動かせるようになるまで時間がかかることには違いない。

「こりゃ……しくじったどころの話じゃないな……」

 周囲にいるであろう父さんの姿は、見えるどころか感じることすら出来ない。

 それどころか、怪我のせいなのか、先程から頭がクラクラして立つことすらままならない。

 それにしても……いったいどうなってるんだ?

 攻撃出来ないどころか、別の方向から攻撃されるとか、そんなの俺にどう対処しろってんだ。

 もし……父さんの持つ『王の領域』が炎のように物理攻撃を一切受けないとかで、攻略方法が水のみとかだったら……俺に果たして勝ち目なんてあるのか?

 そんなことを考えていた時だった。


『なんで勝てないと思う?』


 その言葉が、ふと頭に浮かんだ。

 いつだったか、そんなことを誰かに言われた気が…………そうだ、あれは子どもの頃だったな。


 小学生の時からよく父さんと将棋をしていた。でも、来る日も来る日も勝てなくて、俺はその日、勝負中に将棋盤をひっくり返したんだ。そんな時、不貞腐れてる俺に向かって父さんがそう訊いたんだったか。

 そりゃあ子どもなんだから大人に勝てる訳ないじゃいか。そんな回答を、父さんは一笑に付した。


『そんな考えじゃ10年かかったって父さんには勝てんぞ? いいか、優真。勝ちたいのならまずは相手を理解しろ。戦術や、次に打つ一手、こちらへの対処方法、それらを理解してようやく相手と同じ土俵に上がれるんだ。そんで最後に一番重要なことこそがーー』

「諦めないこと……だったよね、父さん!」


 その言葉を口に出した優真は表情に笑みを浮かべながらゆっくりと立ち上がり、優雅に刀を向けた。


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