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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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「ユーマさんは消滅しに行くんですか?」


 その質問に、優真は顔を上げる。

 そこに居たのは真剣な表情を見せるシルヴィだった。

 彼女は妹を抱き上げると、再び優真の方を見た。

「ユーマさん。私は貴方に聞いているんですよ? ユーマさんは死にに行くんですか?」

「…………違う……」

「じゃあ……何をしに行くんですか?」

「……俺は……」

「聞こえません!! 声は大きくハキハキと……でしょ?」

 シルヴィの言葉に、優真は少しの間を要して、先程の消え入りそうな声よりも少し大きな声で答えた。

「俺は……父さんを助けたい!! 世界が滅びるとか、父さんが世界の敵だとかどうだっていい!! 俺はただ!! 父さんを助けたいんだ!!!」

 その言葉を聞いた瞬間、シルヴィは優真に向かって優しく微笑んだ。

「なら、私は何も言うことはありません。妻の役目は、夫の帰りを信じて待つことですから」

 そう言ったシルヴィは振り返り、皆のもとに戻っていった。


 ◆ ◆ ◆


「ダンナ!!」

 優真が大きく深呼吸をしていると、背後から声がかけられた。優真が振り返るとそこには、ホムラとユリスティナが立っていた。

 ホムラの方は若干怒っているようにも見えた。

「……なに?」

「なに……じゃねぇよ! あの時の言葉の意味、マリカさんから聞いたんだぞ!」

 その予想を遥かに越えた質問に対し、優真は硬直してしまう。

「えっ……聞いたの?」

「聞いたよ!! だいたい私はダンナと違う世界の人間なんだからダンナの世界の言葉で言われてもよくわかんねぇだろうが!!」

「いやまぁ……それは悪かったけどさ……それ、今言うこと?」

「今言わずにいつ言うんだよ!!」

 顔を髪の色よりも真っ赤にしているんじゃないかと思える表情で怒鳴るホムラ。

「はっ、危ない危ない……あんまり時間無いんだったな……」

 そう言うと、ホムラは顔を紅潮させたまま、優真に指を向けた。

「とにかく! 私はダンナの世界のことを全然知らないんだからさ、帰ったら色々教えてくれよ!!」

 その言葉を聞いた瞬間、優真は目を見開いて硬直していた。

 何も喋らない為、沈黙が広がっていく。

 そして、沈黙に耐えきれなくなったホムラは、シルヴィに抱きつき、苦笑しているシルヴィに撫で撫でされ始めた。


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