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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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「わ……私は第一階位の大天使筆頭ですよ? 同じ天使でも元天使長のミハエラとは格が違います。それにこの剣があればあなたの特殊能力もーー」

「そのゴミがなんだって?」

 その言葉の直後、彼女の剣はバラバラになって地面に落ちた。

「…………え?」

 それは彼女にとって予想外の出来事だったのだろう。

 全ての天使の頂点に君臨し、主神からあらゆる特殊能力を無効化する剣を授かる程の実力を持つ彼女にとって、見えないなんてことは生まれて初めてだった。

 その目は全てを見切るからこそ、彼女は試合の審判などを任せられている。だが、そんな彼女でも、優真の動きを視認する事が出来ない。

「次はちゃんと避けろよ? じゃないと殺してしまいそうだ……」

 怒りを感じさせる優真の声が、彼女に恐怖を与える。

 天使クレエラは死の恐怖から逃れる為に足を動かそうとするが、彼女の足は、まるで強力な接着剤で固定されているかのように動かない。

「……あ……あ……」

 神の御前で命乞いをする事も許されない。

 そして、膝から崩れ落ちたクレエラに向けて、優真が攻撃を繰り出そうとした瞬間、彼に向かって数本の矢が飛来した。


 優真は慌てるどころかそれを顔色一つ変えずに避けてみせる。その視線の先には橙色の髪の半裸の男が立っていた。

「裏切り者に手を貸す愚鈍な眷族よ!! この太陽を司る男神様の眷族筆頭アポロンが直々に貴様を葬ってやろう!!」

 そう言いながら、アポロンは弓を引いて矢を放った。

 そして、優真が再び矢を避けた瞬間、優真目掛けて何かが飛んできた。それは一人の男性だった。

 優真は紅華で彼の持つ両手剣を防ぐ。

「てめぇの親父にも借りは返さねぇとならねぇが、まずはてめぇからだ裏切り野郎!!」

「面倒な奴らだ……」

 そう言いながらも、優真は神器イカヅチの攻撃を避けていく。

 だが、優真を狙う相手は二人だけではなかった。

「ナイトメアドール」

「ルナビーム」

 その二つの声で放たれる攻撃は、雷神の眷族筆頭の攻撃を避けながらでは絶対に防げないと優真は確信できた。

「花玄の舞い」

 短くそう言った優真が、見ることすら困難な速さで地面を斬る。その結果、舞った土煙が3人の攻撃を完璧に防いだ。

「……無傷?」

 手に三日月の形をした飾りが先端についているステッキを握っている少女がそう言うと、杖を握った女性が一歩前に出る。

「そう簡単にいかないのはわかっていたことです。なにせ、あのキュロス様を倒したのですからね……ですが! 私たちは未来を勝ち取る為に戦わねばならないのです! 行きますよ、皆さん!!」

 イルジョネアのその言葉に、雄叫びが上がる。それは10や20ではなかった。

 本拠の入口に入りきらなかったのか、外からもその声が聞こえてくる。

「面倒だな……」

 そう思い、優真が刀に力を込め始める。

 次の瞬間、地面から銀色の茨が出てきた。


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