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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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 余裕の笑みを見せていたバラドゥーマの表情に緊張が走る。

 先程まで避けることに手一杯だったはずのパルシアスのオーラが徐々に覇気を増していくのを、肌で感じ取った。

 どんな攻撃をしようと破壊神の力を喰らった自分に敗北などあり得ない。そう思っていたバラドゥーマが、次に放とうとしていた一撃は、先程までとはスピードも威力も、格段に違うものだった。

 だが、その拳がパルシアスを捉えることはなかった。

 そして、バラドゥーマは脳が揺さぶられる程の衝撃を受け、それに耐えられず、地面を転がった。

 攻撃を受けた瞬間に見た光景は、パルシアスが自分の右側頭部を回し蹴りで捉えるというあり得るはずがない光景。

 テレポートの発動は感じなかったし、時間の変化も感知出来なかった。

 そして、一番おかしいと感じた事柄は、自分がそれを見ていたにも関わらず、反応することが出来なかったという事実だった。


「……くっそ……なんだありゃ? ……俺の時間が止まってたんならそもそも見えるはずがねぇし、今の俺なら時間を止められても関係ねぇはずだ……パルシアスの野郎……まだなんか隠し持ってやがったのか……」

 バラドゥーマは起き上がり、そんなことを呟くが、パルシアスから目を離すような真似はしなかった。

 パルシアスは、バラドゥーマに追い詰められていた際に乱れた息を整えると、再びその目に攻撃の意思を宿らせ、地面を蹴った。

 当然、バラドゥーマにはその一部始終が見えており、攻撃を防ごうという意思もあった。

 だが、バラドゥーマよりもパルシアスの方が速かった。

 しなるように放たれるその蹴りは、バラドゥーマの無防備な胸を捉える。

 その瞬間、バラドゥーマの指が微かに動き、バラドゥーマは何かを察したような表情を見せながら、その蹴りを真っ正面から受けた。


 数メートル後方まで蹴り飛ばされたバラドゥーマの姿を見て、パルシアスは追い打ちをかけようとするが、前方から不敵な含み笑いが聞こえてきた為、その足を止めた。

 その直後、大きく後方に跳んだバラドゥーマの姿が、パルシアスの視界に映った。

「なるほど……お前が速くなったんじゃなくて俺が遅くなった訳か……」

 軽やかに着地したバラドゥーマの言葉に、パルシアスが少し悔しそうな表情を見せた。

「やっぱり……バラドゥーマにはすぐわかっちゃうか……」


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