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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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55-86


 例えあそこで炎帝を倒したところで、彼らの狙いなどわからない。

 不可解な行動を多くとる彼らの目的を暴く。

 それを実行する為に、僕は数時間後の世界に移動した。

 そして、彼らの目的を暴くのに、2時間もかからなかった。

 彼らの目的は、地獄から仲間を解放することと神の力を奪うこと以外にもう一つあった。

 それこそが、彼らにとって最大の目的。

 時と空間を司る女神様、創造を司る男神様、破壊を司る男神様。創世神と呼ばれる彼らの力を喰らい、この世界を再構築すること。それが彼らの目的だった。

 神のいない世界を造り、争いも、支配もない世界。

 そこで新しく人生をやり直したり、この世界を滅ぼすことだけに集中するのも個人の選択に委ね、彼らは結託していた。

 当然僕は、それを時空神様に報告した。

 あの方ならきっと、とても素晴らしい案を出してくれるのだと信じていた。

 だがあの方は、いつものように静観する姿勢をとった。

 破壊神様が狙われているのを知っても、あの方は動かなかった。創造神様が狙われているのを知っても、彼女は動くなとだけ、僕に伝えた。

 だから、僕はずっと彼らの戦いを見ていた。

 仲間が死んでいくのをじっと見続け、仲間が必死に戦っているというのに、安全な場所で見続ける。

 それが僕の敬愛する女神様の指示で、それが一番正しいことなのだと、僕は信じ続けてきた。

 そんな時に見えた光景が、僕に衝撃を与えた。


 あの主神に忠実でどんな命令をもこなすキュロスが、バラドゥーマと死闘を繰り広げていた。


 いつも創造神様の命令が第一で、僕がどんなに言っても自分の意思で行動しない。そんな彼が見せたその表情が、僕に衝撃を与えた。

 数千年も前にしたユウマの主神との約束。

 彼はそれを守る為だけに命をはった。

 創造神様の命令ではなく、彼は自分のやるべきことの為に、命をはった。

 その光景が、僕の心を乱す。

 僕は彼に言った。

 それでつまらなくはないのか、と。

 僕は彼に言った。

 それで本当にいいのか、と。

 自分が恥ずかしく感じる。

 僕は彼を見誤っていた。

 彼を誤解していた。

 彼は僕なんかより、よっぽど人間味に溢れていた。


 そして僕は、生まれて初めて、女神様の命令に背いた。


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