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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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55-84


「随分こっぴどくやられたんだな」

 からかうようにそう言った父の姿に、優真は昔の面影を重ねていた。

 優しくて、でも、時々からかってくる父の姿がそこにはあった。

「驚きましたよ。貴方の息子さん、思ってた以上に手強かったです。お陰でこのざまですよ」

「そうだろう、そうだろう。俺の自慢の息子だからな」

 そう言った優雅は、優真の方へ目を向けた。

「たった一人で神喰らいをしたアルゼンに勝つなんてたいしたもんじゃないか!」

 その姿に優真は哀しげな眼差しを向ける。

「……別に……俺一人で倒した訳じゃないし……」

「そっか……ところでアルゼン……」

 優真の素っ気ない言葉に、優雅は笑みを見せると、仲間のアルゼンに再び視線を向けた。

「こっちにカイザルクは来なかったか?」

「カイザルク? ……彼は貴方と一緒に居たのでは?」

 本当にわかっていなさそうなアルゼンの表情を見て、優雅は少し考え込む様子を見せた。

「ふむ……ということは道中で待ち伏せにでもあったか? ……未だに来ていないところを見ると、まず間違いなく負けたんだろうな……」

「そうですか……なんでも大地の女神を襲いに行った二人も負けたようですし……私もこれ以上動けない……残りは貴方とバラドゥーマだけですね……」

「普通なら撤退を選ぶんだろうが、バラドゥーマはそういう選択をしないだろうし……俺達はこれで終わりだな……」

 その言葉を聞いた瞬間、黙っていた優真の眉がピクリと反応した。

「ただその前に……やっておくべきことがあるな」

 そう言った瞬間、優雅の雰囲気が一瞬で変わった。

 先程まで優しい雰囲気を漂わせ、戦意も、悪意も、殺意も、一切感じさせない表情を見せていた優雅の表情が真剣なものとなり、彼の両の目が、優真に向けられる。

 それにつられた優真もまた、辛そうに刀を腰の鞘から引き抜き、構える。

 そんな優真を見て、優雅は口を開いた。

「間違った道へと足を踏み入れた息子を怒るのも父親としての役割だ。優真……手加減はせんぞ」

 その言葉を合図に、二人は覚悟を決めた。


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