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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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 ようやく救援に駆けつけた麒麟と4人の眷族達は、そこにいた大地の女神のもとまで駆け寄る。

「お前達は先に行ってあの娘の援護にまわりなさい」

 麒麟の言葉に4人の眷族達は跪いて頭を垂れる。そして、援護に向かった彼らを見送り、麒麟は大地の女神に声をかけた。

「こちらにわしらの仕事はないようじゃな」

「はい、うちの自慢の娘が助けてくださいましたから」

 そう答えた大地の女神は、どこか誇らしげだった。

「ふむ。聞きたいことは色々あるが、とりあえず先に襲撃者を殲滅させるとするかのぅ」

 そう言うと、麒麟は視線を大地の女神から、彼女が膝枕している少女へと視線を向けた。

「それがお主の選択だと言うのなら、わしは咎めぬさ」

「ありがとうございます」

 最後に小さく笑い、麒麟はもう一つの戦場へと向かった。


 ◆ ◆ ◆


 ハナが目覚めさせた特殊能力【大地之王(ガイア)】は、大地や植物を使用し、私兵を造り出す能力であった。

 その人形達は1体1体がハナの身体能力を要しており、特殊能力は使えないものの、学習能力まで完備されていた。

 土と植物がある限り、その数は増え続ける。

 まさに最強の軍隊である。


「……女神……様?」

 目を覚ましたハナは、自分が膝枕されているという状況に困惑しつつも、なんとなく今はもう少しだけ甘えたい気分になり、怒られるまではそのままでいようと思った。

 すると、大地の女神が口を開いた。

「昔……ハナちゃんと同じような子が僕の傍にいたんだ。僕は彼女を眷族筆頭に据え、王の力も与えた」

 その雰囲気は、いつもより重苦しく、とても口を挟めるような状況ではなかった。

「……でも、死んじゃった……もう覚えてないくらい昔に、神喰らいをした眷族筆頭の手によって……」

 大地の女神は涙をポタポタと流し、ハナの頬にも落ちてきた。

「もっとずっと長く一緒にいられると思ってた……もっと色んな世界をガイアには見てもらいたかった……僕はあの子の主神だったのに……結局……彼女を守ることが出来なかった……」

 その話を聞いているハナの目からも、いつの間にか涙が流れていた。

「……だからなんだ。ハナちゃんがガイアみたいになったら嫌だと思ったから、僕は君をずっとあそこに閉じ込めていた……ごめんね、ハナちゃん……僕のわがままで君をあそこに留め続けてしまった……結局僕は、子どもを司る女神(あの子)と同じ苦しみを味わわせてしまっていたんだね……」


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