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優真の意見を聞いた瞬間、時と空間を司る女神は不敵な笑みを見せた。
「面白い意見ですね。その間、私の本拠が襲われた場合は?」
優真はてっきり話すら聞いてもらえないのではないかと思っていた為、前向きな姿勢を見せた時空神の態度に面食らっていた。
「……私的な意見で申し訳ないのですが、相手を長時間引き付けておけるようなトラップを設置し、その間に眷族の方や天使の方には何処かへ避難してもらいたいのです。……パルシアスを殺した男の息子の言葉に耳を傾けてくださるなら……そうしていただきたいのです」
「……わかりました。善処はしてみましょう。パルシアスがいない今、戦力が急激に落ちたのは事実なのですから」
「……ありがとうございます。では当日、もし攻められた時のことを考えましょう。ただ……問題を挙げるとするなら、大地の女神様の本拠なのですが……ここは微妙に会議が行われる場所から離れています。なので、カリュアドスさんにはもしもの時のための護衛役として、そこに行ってもらいたいのです」
「なるほど……だから、私共にも声がかかったのですね」
「ええ、今わかってる敵の戦力はバラドゥーマと父さん、そして元死神の眷族筆頭と思われる男の3人、内2人に関しては神喰らいを行った可能性が高く、父さんは確定。となると、時空神様のところか、創造神様のところに二人行くでしょう。ただ、バラドゥーマは見た感じ一人でやりたがるタイプに見えましたから、一人で動く可能性が高いです。また、私達が知らない敵が居た場合、海洋神様か大地の女神様を攻める可能性が高いです。なのでカリュアドスさんにはそちらを、お願いしたいのです」
「構いませんよ。うちの女神様も喜んでお力を貸していただけることでしょう」
カリュアドスが了承の言葉を言ったことで、優真は彼にお礼を言おうとした。しかし、その前に彼が「ただ……」という前置きの言葉を放つ。
「ここはどうなさるおつもりですか?」
その言葉に、万里華とシルヴィが息を飲む。
破壊神という存在を殺す化け物集団の一人がここを襲うかもしれない。
そう考えただけで体が震える。
そんな二人を視界に入れつつ、優真はカリュアドスの質問に答える。
「……相手の人数を把握していない以上、確かなことは言えませんが、ここはおそらく大丈夫だと思いますよ? 創造神様と大地の女神様の娘とはいえ、下級神に分類されるうちの女神様が襲われるとはーー」
「無いとは言い切れないと思いますよ?」
優真の意見をばっさりと否定するその言葉を告げたのは、時空神だった。




