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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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 しかし、その梟はメイデンの見たことがある動物でもモンスターでも無かった。

 普通の梟と同じ大きさではあったが、見た目はファントムオウルという亡霊を操るAランクモンスターによく似ていた。

 しかし、圧倒的に体躯が小さかった。

 ファントムオウルは小さくても、3メートルはあり、普通のサイズなら10メートルは優に越える。だが、目の前にいる梟はせいぜい50センチ程度。おそらく特別な過程で生まれた変異種の類いなのだろう。

 もし、ファントムオウルであるならば、気配を消すこともあのかまいたちにも納得はいく。だが、この梟の目は赤くない。要するに、この梟は飼い主の意向に逆らってメイデンを攻撃したのだ。


 この梟がSランクモンスターを操っていた存在で間違いないのだとメイデンは直感で確信した。

(……こいつさえ倒せば全て終わり……)

 そう思ったメイデンが手に顕現したエクスキューショナーズソードを振り上げる。

 その時、後方から一言、こう聞こえた。

「オーちゃん!!!」

 その声で振り下ろそうとする剣を寸でのところで止めた。しかし、そうして正解だったのだと、メイデンは確信する。

 鎖で拘束された梟に、ミナが駆け寄り、そのまま抱きついたのだ。

 少女は抱きついたまま泣き始め、梟はその少女に目を向けていた。


「すまない……また、君を護れなかった……」

 それはテレパシーによる謝罪だった。その事実に、メイデンは内心驚いていた。

 本来、モンスターや動物がテレパシーを発することはない。唯一使えるとすれば、Sランクに分類されるモンスターだけだろう。

 そのうえ、ここまで流暢に喋れるとなると、数はかなり少ないだろう。だが、この状況ではありがたい能力だった。

「……あなたはファントムオウルなの?」

 そう訊くと、梟はメイデンへ鋭くなった目を向けた。

「ワレをあのような下等種族と同列に見なすな。ワレの真名はワイズオウルことオーちゃんだ。二度と間違えるな!!」

 鎖で縛られているにもかかわらず、ワイズオウルと名乗ったそのモンスターは、上から目線で接してきた。

 しかし、今までの眷族達も大概そんなものだった為、メイデンも特に気にしはしなかった。

 メイデンは首を傾げて、長い年月で見てきた知識を活用してみるが、ワイズオウルという名に聞き覚えはなかった。

 

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