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(……まさか麒麟様とその眷族の方々が協力してくれるなんて……でも、あの操られているモンスター達を倒しても……)
「メイデンよ、周りに目を向けよ」
メイデンがどうすればいいのか悩んでいると、人間の姿でSランクモンスターをあしらっている麒麟が声をかけてきた。
「このもの達を操っている存在はすぐ近くにおる。相当厄介な存在だとは思うが、今のお前さんなら見つけられる」
そんなことを言われ、何かを覚ったメイデンは目を閉じた。
近くにいるのであれば、姿が見えなければおかしい。
でも、先程不思議な現象が起こっていた。何もないはずの場所から突如攻撃を受けた。
すぐに振り向いても何もいなかった。
それが意味する答えはただ一つ。
「……カリュアドス! 力を貸して!!」
その声はいつもの張りのない声ではなかった。そして、辺り一帯に響いたその声は、彼に届いた。
「……仰せのとおりに……」
壁の先にある光景はわからない。
状況もわからない。ただ、彼女が求めた。
これまで、誰の手にも頼ろうとしなかった幼い少女が、神々の余興以外で初めて、自分の手を借りようとしていた。
それに全力で応えるのが、自分の役割だと思った。
「……飛びなさい……」
神のいる間に通じる扉へねんかかりながら座るカリュアドスは弱々しく指を鳴らした。
次の瞬間、床全体に広がっていた土の中から小さな粒が一斉に飛び上がった。
威力は無いため、その場にいた全員が垂直に飛び上がった砂鉄を適当に払う。
そして、メイデンだけは砂鉄をその身で受けながら全体を注視していた。
(……見つけた)
メイデンが向いた方向には砂鉄が飛んでるだけで何もなかった。しかし、急に砂鉄が不自然に落下した。
まるで何かに当たったかのように地面へと砂鉄が戻っていく。
そして、そこからのメイデンは速すぎた。
造り出した小型十字架をそこへ向けて放る。
いくつかの十字架は突然発生したかまいたちによって撃ち落とされるされるが、その内の一つが何かにぶつかったのかその見えない生物を鎖で拘束し、地面へと落下させた。
そして、メイデンがそこに近付くと、1羽の梟が悶えていた。




