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メイデンがどこかに消えてしまった4匹のモンスターを探していると、展開されていたバリアが解かれ、それと同時に上から先程のモンスター達が降ってきた。
すると、バリアを解いた女性は白髪の女性の元に近付き、声をかけた。
「ねぇカルナ……殺しちゃってないわよね?」
「そんなつまらないことを誰がするのよ。Sランクに分類されるあの子達ならダメージにもならないわ」
「さすがね。なら私はあの亀をもらうわね」
「お好きにどうぞ。わたし、あのテンペストライガー以外に興味ないもの」
「ならあたいがあの毒蛇って訳だね」
「しゃあないのぅ、ならわいがあん白い鳥っちゅう訳か……ほんなら残った1匹はどうする?」
「わしがいただこう」
その声が聞こえた瞬間、メイデンは今までとは比べ物にならない程の威圧を感じた。
そして、その存在はメイデンの隣に降り立った。
白い装束に身を包んだ4人とは違い、その老人は羽織袴を着ているが、雰囲気とその見た目ですぐに誰なのかわかった。
「……麒麟……様?」
「久方ぶりじゃな、メイデンよ。息災であったか?」
その言葉に、メイデンは小さく頷いた。それを見て、人のいい笑みを浮かべた老人は自分の髭を撫で始めた。
「遅くなってすまんかったのう。あの子から連絡をもらって急いで来たのじゃが、道中のモンスターを蹴散らすのに時間をくったわい。まぁ、途中でルキュナや他の者が来てくれたお陰で充分な時間短縮にはなったがのう」
そんなことを笑いながら言ってくる麒麟は、そこまで言うと、急に雰囲気を変えた。
「……ところで、残った最後の1匹はわしがもらってよいかのぅ?」
その威圧的な雰囲気を前にして、メイデンは首を縦に振ることしか出来なかった。
「ふむ。ならばお前さんら。……不甲斐ない姿を見せるでないぞ?」
麒麟が威圧的にそう言うと、4人はニッと笑い、そして一斉に特殊能力を発動した。
「【玄武之王】」
「【青龍之王】」
「【白虎之王】」
「【朱雀之王】」
それぞれがその言葉を発した時、そこにいたのは人間の姿を解いて本来の姿に戻った四神と呼ばれる存在であった。




