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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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 メイデンは思わず目を閉じてしまった。

 迫りくる死の恐怖から顔を逸らすことしか、今の彼女には出来なかった。

 しかし、彼女にその死が訪れることはなかった。

 疑問を抱いたメイデンは再び目を開け、テンペストライガーが爪を振り上げていた現場に目を向けた。しかし、そこで見たのは、テンペストライガーの姿ではなく、黒緑色の長髪をたなびかせた女性の後ろ姿だった。

「……嘘……」

 そう思ってしまう程の衝撃的な光景だった。

 先程まで自分が王の領域を使ってどうにか防いでいた5匹のSランクモンスターによる攻撃。

 それを彼女は半球体のバリアで意図も容易く防いでいた。

「大丈夫かしら?」

 自分に背中を見せている女性が振り向き、こちらに笑みを向けてくる。

 垂れ目の優しそうな女性だった。

 彼女の質問に、メイデンはこくりと頷く。

「良かったわ。なんとか間に合ったようね」

 温和な笑顔でそう言われ、感謝の言葉を告げようとした瞬間、外で変化が起きた。

 ホワイトイーグルが地面に叩き付けられ轟音が鳴り響いたのだ。

 叩き付けられたホワイトイーグルはなんとか翼を広げようとしていたが、真っ白い翼につけられた焦げた痕が熱いのか苦戦している様子だった。

 すると突然、近くに強大な存在の気配を感じた。

 メイデンが慌ててそちらに視線を向けると、そこに一人の人物が立っていた。それは、赤髪の男性だった。

「わざわざこんなおもろい相手を残しとってくれるとは……ほんまありがたいこっちゃ!!」

 赤髪の男は愉しそうにそう言うと、布で巻いた拳をかち合わせていた。

 しかし、強大な存在の気配は彼だけではなかった。

「おいおい、あたいらの獲物までとるのはやめてくれよ?」

「そうよ。だいたい貴方! ヒーラーなら後衛にいなさいよ!」

 声を発するまでどこにいるのかまったくわからなかった。だがそれは、相手の気配が弱いからではない。気配もオーラも洗練され、周りにうっすらと漂わせた女性二人の姿に、メイデンは息をすることすら忘れてしまう。

 それは、青髪の女性と白髪の女性だった。

「ええやないか。わいが全員倒したるさかい、自分らは下がっとけや」

「はぁ? あんたバカなの? 麒麟様が久々に本気で暴れていいって言ってんだから、あたいらもやるに決まってんだろ?」

 青髪の女性がそう言うと、白髪の女性が何度も同意するように頷いていた。

 そんな彼女達に、先程自分を守ってくれた女性が声をかける。

「ねぇ! そんな口論はとりあえず置いといてさ。先にこの子達をどうにかしてくれない?」

 彼女がそう指し示したのは、未だにバリアへ攻撃を続けるSランクモンスター4匹だった。

「……しょうがないわね」

 白髪の女性がそう言って、指を鳴らすと、突如発生した竜巻がバリアの周りにいた敵をどこかに飛ばした。


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