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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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 メイデンの呟きを聞いた瞬間、テンペストライガーは低い唸り声を発した。

 一応、同胞が死んだ訳ではないということはわかった。

 一時的に体を完全に拘束される。力の強いエンペラーグリズリーでも拘束は解けない。

(あれ……危険……)

 それは、残り5匹全員の耳に届いた指示だった。


 一匹減らせれば、かなり楽になるとメイデンは思っていた。

 一匹一匹の力は当然強いが、彼女程ではない。だからこそ、徐々に一匹ずつ仕留めれば、いずれ終わると思っていた。

 しかし、Sランクモンスター達の連携がいきなり強力なものになったことで、メイデンはモンスター達の攻撃に対処しきれなくなっていた。

 こちらが繰り出す攻撃は、見事な連携で防がれ、こちらの動きを読んでいるかのように正確無比な攻撃が飛んでくる。

 いつの間にか彼女は防戦一方になっていた。 


(……これは……さすがに不味い……かも……)

 メイデンはそんなことを思いながら、膝をついていた。

 彼女の周りには銀色のプレートがあるだけで、彼女は既に避けることも攻撃することもやめている状況だった。

 殺すだけでいいのなら、どうにかする方法はいくらでもあった。

 イメージしたものを鉄で具現化させる特殊能力【鋼鉄之王(ヘパイストス)】を使用すれば、全滅させることすら容易だった。

 しかし、それを使用すれば、ここにいる多くの者を巻き込んでしまう。おそらく、戦闘能力がまったくないミナは、9割の確率で死ぬだろう。

 そして、飼い主(ミナ)が敵意を向けなくなった以上、このモンスター達は操っている奴さえ倒せば、すぐにやめることだろう。


(……殺さないの……難しい……)

 自分が意識を向けている以上、攻撃は絶対に通りようがない。そんな思いからか、メイデンは攻略法を考えようとした。

 そんな彼女の背中に突如、激痛が走った。

「うっ……!?」

 背後から爪で抉られたような傷に、メイデンは小さなうめき声を上げた。

 警戒していなかった訳ではない。後ろにもしっかりと鉄の壁を張っていたはずだ。

 そう思い、彼女が瞬時に背後を確認するも、そこには抉られたような痕のある鉄板だけが残っていた。

 何に攻撃されたのかわからないメイデンではあったが、すぐにそれどころではなかったことに気付く。

 今の攻撃で彼女は、鉄板から意識を逸らされてしまった。

「あっ……」

 体勢が崩された彼女が見たもの。

 それは、己の身に迫る死の未来だった。


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