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10-6

 シルヴィは嬉しそうに駆ける。

(きっと二人ともお腹を空かせているだろうし、今日は腕によりをかけて美味しいご飯を作らないと!)

 その表情には笑みが刻まれており、二人の帰還を心持ちにしていた少女には、後少しの距離でさえも待てなかった。


 しかし、変な匂いが鼻に入ったことで、シルヴィは顔をしかめると同時に、その走る足を止めた。

 その刺激臭は、祖母のシルベスタから教えてもらっていた臭いだった。

(……これってモンスター避けのお香? なんでそんなものが?)


 普段はしない刺激臭がシルヴィの頭を悩ませる。

 だが、目標としていたランタンの光が徐々に近づいてい来ているところを見て、その疑問を後回しにして改めて走った。


 しかし、走っていると妙なことにランタンの光がその場にとどまった。

(足を止めた?)

 まだ走りはじめて100メートルも経っていないであろう距離。村からもそこまで離れていない。


 ここらへんまではモンスターもほとんど寄りつかない安全地帯だった。

 1ヶ月くらい前までユーマさんが夜にこの辺で狩り続けていたら、そのうちモンスターが寄りつかなくなったと嘆いていたのを聞いたことがある。

 それ以来、ライアンさんが朝のトレーニングに森の奥まで行かないとモンスターが現れないと嘆いていたのが印象的だった。


 だからこそ、それを知っている筈の優真が足を止めたのが不可解だった。

 さすがのシルヴィでも嫌な予感がしてきたことで少し慎重になった。

 もしもの時も考えて、息を潜め、足音を立てないようにそのランタンの光を目指して歩を進める。

 

 そして、何者かがいると思われる場所に近付いていくと、ランタンの光が徐々に増え始めた。

 その時点で二人しかいない優真とシェスカではないことにシルヴィは気付いていた。


 その時点でシルヴィが引き返していればそんなことにはならなかったのかもしれない。

 だが、シルヴィは村の皆に知らせるため、覗きに行ってしまった。

 そして、光を灯すランタンそのものが見えた時、そこに広がる光景を見てシルヴィは絶句した。

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