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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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 ネビアの表情からは苛立ちの感情が露になっていた。

 彼は怒鳴った。

「なにをたった一人に手こずっている! 貴様のペット共は死にかけただ一人殺すことすら出来ないのか!!」

 ネビアはある方向を指差しながら隣の少女を問い詰める。

「ミナ悪くないもん。だいたいおじさんが弱すぎるから遅いんでしょ? ミナのせいにしないで!」

 少女がそう言うと、ネビアは露骨な舌打ちをした。

 そして、ネビアは問題の起こっている場所に目を向けた。

 そこには、全身のあらゆる箇所から血を流しながら、荒い息づかいでかろうじて立っている銀髪の男性がいた。

 目は朦朧としているというのに、その目が向けられれば怯みそうになってしまう。

 そんな彼に、一匹のモンスターが襲いかかる。

 巨体でありながら機敏な動きを見せるモンスター。だが、次の瞬間、モンスターの体を無数の粒が貫き、それは血渋きを放ちながら、倒れた。

「あー!! またミナの熊ちゃんが死んじゃったぁ……もう、おじさんなんて嫌い! ほら皆! とりあえず下がるよ!」

 そう言った少女が手に持った笛を鳴らすと、銀髪の男性の周りに群がっていたモンスター達は一斉に少女の方へと振り返り、のそのそと少女の方へ向かってゆっくりと歩き出した。

「勝手な真似を……誰の為にでばって来てるのか忘れたのか?」

 ネビアは怒りの感情を抑えながら、少女にそう言うが、少女は自分の手に抱くぬいぐるみを抱きしめながら、気持ちよさそうな笑顔を見せている。

「知らないもんね~……それよりいいの? 早くしないとやばそうだよ?」

「……ちっ、しょうがない。ここは私が殺りましょう。そっちはお任せします」

「最初から素直にそう言えばいいのに、ね~?」

 少女はぬいぐるみに語りかけながら、楽しそうに笑った。 

 しかし、次の瞬間、少女の目が驚きで見開く。

 そして、とある方向を向いた。


 モンスター達と入れ替わりに突入したネビアは、死にかけのカリュアドスを殺すために、手に持つ鉄扇に力を込め、そして振るった。

 次の瞬間、鉄扇による霧の刃が発生した。

 霧の刃は、死にかけのカリュアドスに容赦なく襲いかかるが、彼はそれを防ごうとも避けようともしなかった。

「申し訳ございません……私はここまでのようです……」

 そう言って、カリュアドスが目を閉じた瞬間、彼の耳にその声は届いた。

「【鋼鉄之王(ヘパイストス)】!!」

 その言葉が聞こえた瞬間、霧の刃は突如地面から現れた鋼鉄の太い茨に防がれた。


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