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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
55章:実習生、大切な存在を護るために戦う
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55-15


 そこは戦場と化していた。

 鮮やかな赤が塗りたくられたその空間に立っているのは、僅か3人。しかし、倒れて動けなくなっている者の数は数十人にも及んだ。

 倒れている者の多くは白い翼を背中に生やした女性だったが、中には眷族と呼ばれる存在も倒れていた。

 彼らはたった数分で倒れた。たった一人の手によって。

「【忍法】火遁の術!」

 濃い緑の忍装束に包まれた男が、敵に向かって特殊能力を発動する。その瞬間、彼の手に握られた赤い札が炎を纏い、敵目掛けて放たれる。

 しかし、それは空間に出来たひびが阻んだ。

 炎が無くなった先には、手を忍装束の男に向けている少年の姿が映る。

 その少年が、次の行動を行おうとした瞬間、彼の背後に巨大な影が出来る。

 しかし、少年はそれを回避しようともしなかった。

「アングリーハグ!!!」

 野太い声が空間に響くのと同時に、少年の体が巨体に抱きつかれる。

「さぁシノブ!! アタシごと全力でやりなさい!!」

 おねぇ口調の彼を見て、シノブは一瞬躊躇いを見せたものの、すぐに懐から黄色い札を取り出した。

「申し訳ないでござる!! 【忍法】発動!! 雷遁の術!!!」

 謝罪の言葉が放たれた直後に、札から雷撃が発生し、二人を襲った。


「…………やったでござるか?」

 黒煙で見えなくなった場所を見ながら、忍装束の男は呟いた。そして、徐々に煙が晴れていく。

 そこにいたのは黒焦げになって意識を失っているディジェンヌの姿だけだった。

「姐さん!!」

 黒焦げになったディジェンヌが倒れたのを見て、忍装束の男は彼に駆け寄ろうとした。

 しかし、そんな彼の耳元に声がかけられた。

「殺し合いの最中だぞ?」

 その言葉で横を見ると、そこには赤い短髪の少年がいた。忍装束の男は慌てて札を取ろうとするが、その前に腹部がめり込む程の衝撃を受けた。

 反射的にそちらを見れば、少年の腕がそこにあった。

 そして、シノブと呼ばれた男は、喀血しながら高き天井へと叩きつけられ、数秒の間を要して床へと落下した。

 彼の濃い緑だった忍装束は赤黒く変色していた。


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