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破壊神とバラドゥーマの戦いは半日が経過しても終わらなかった。
本来であれば、とっくに終わってもおかしくない戦い、しかし、今のバラドゥーマは【破滅之王】を使いこなしていた。
空間にひびを入れ、触れたものを瓦解させたり、天地を揺るがす程の衝撃を発生させることも可能な能力。キュロスやパルシアスの特殊能力と違い、その危険過ぎる力は制限しなければ簡単に敵を殺めることも可能で、本気で振るえば、地上世界を壊すこともできる。誠実であり、常に正しさをもって行動する彼だからこそ託せた特殊能力。だが、今の彼に制限する理由はない。自分の望まないものを壊す。それが例え、長き時を共に暮らし、研鑽しあってきた神や仲間であっても関係ない。
だからこそ、バラドゥーマは破壊神相手にここまで拮抗した戦いを展開することができた。
攻撃を流れるような動きで繰り出すバラドゥーマはこのままでは危険だと感じていた。
タイマンで戦い、拮抗しているのは、破壊神が自分を殺す踏ん切りがついていないのが大きな要因だった。
殺すよりも、地獄で反省させる。
それが狙いなのだろう。だが、創造神の眷族や時空神の眷族が救援に来ては、この拮抗もすぐに崩れる。早く決着を着けねば、ユウキやプラウドといった元仲間を殺した意味がなくなる。
(……どうせ、創世神のプライドで呼ばないんだろうが、もしもの時もある。少し無防備になるのはいただけないが、ここで仕留める!!)
バラドゥーマは前にパルシアス相手に放った技を放とうとする。空気が震え、空間に裂け目が出来る。
「これで終わらせる!! 破天!! 修羅壊拳!!!」
その言葉と共にバラドゥーマは拳を放つ。
その一撃には、さすがの破壊神も険しい表情を見せた。
だが、そこで異変が起こった。
破壊神がバラドゥーマとまったく同じ構えをとり、寸分違わぬ動きで、彼の修羅壊拳を再現してみせたのだ。
その行為に、バラドゥーマは言葉を無くす。
「ふははははははは!! 創世神とまでうたわれた我が、眷族の技が使えぬとでも思ったのか!!」
その一撃は、バラドゥーマの拳を粉砕し、バラドゥーマをも消し炭にしかねない一撃だった。その瞬間、バラドゥーマと破壊神の間に、巨大な炎の壁が出現した。




