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52-12


「パルシアスが……死んだ?」

 話を聞き終えて衝撃を受けた優真はふらふらと後退り、膝を床についた。

 とても受け入れられるような話では無いのだろう。彼の体は震え、目からはポロポロと涙をこぼし始めていた。

 そんな優真に対して、子どもを司る女神は辛そうな眼差しを向ける。

「時空神様はこの事態を受けて、創世神の三柱で話し合い、結果、『神々の余興』の中止を宣言した」

 その言葉は、優真を更なるどん底に突き落とした。

「……ホムラちゃん……」

 涙を流しながら、優真が想像していた人物の名を万里華がポツリと呟く。

 優真達が参加している『神々の余興』の中止。それが意味するのは、ホムラという少女を生き返らせられなくなるということに他ならない。その目的の為に、ここまで死ぬ思いをしてまで心身を鍛えてきた優真。そんな彼にとって、あと一歩のところで全てが無駄になったというその知らせは、絶望以外のなにものでもなかった。


 友人の死と、希望の消失に優真は声にならない叫びを上げた。

 友人と希望の二つを奪った炎帝が憎くて憎くて仕方ないはずなのに、そんなのが考えられなくなるほどの辛く苦しい悲しみを覚える。

 そんな時だった。

 急にテレビの電源が点いた。

 試合の中継を見る為だけに設けたそのテレビは、先程まで確かに消えていた。

 リモコンを誰かが握っている訳でも、誰かが直接点けた訳でもない。テレビはひとりでに、その赤いランプを緑色に変化させ、その黒い画面に色を与えた。

「なっ!?」

 それを見た女神は驚いたような声を上げる。

 そこに映ったのは一人の人物。スタジアムの中心地で皆が見ている前で炎となって姿を消した男。

 黒い髪の中に一房の赤い髪、黒と赤のオッドアイが特徴的な炎帝と神々に呼ばれた男がそこに映っていた。

 そして、その人物はこの場にいるとある人物とよく似ていた。

 所々違うところはあるが、それでも見た限りの印象だけで言えば、エパルと子どもを司る女神以外の全員が彼の方を見るくらいには似ていた。

 そして、優真は悔しそうに涙を流しながら、その画面に向かって弱々しい声で言った。

「……父……さん……!?」


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