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52-6


 パルシアスは炎帝と向かい合う。

 試合開始の鐘の音が鳴る前に攻撃が来てもいいように、神経を尖らせて警戒するが、今のところ、相手に攻撃の意思は見受けられなかった。

「僕を大将戦に出す為だけに、カイザルクを犠牲にしたのか?」

 その言葉に、炎帝は答えることなく、ただ、目を瞑り、腕を組んで佇んでいる。

「そんなことしなくても僕はこの試合に出たよ? あっ、もしかして僕を驚かせるつもりだったとか? それなら大成功だね。いつもだったら未来予知で相手がどんなことするか事前にわかるし、こんなに驚かされたのはいつぶりかな~」

 パルシアスの言葉は、炎帝に向けられるも、彼は微動だにしない。パルシアスも、別に話し合いがしたい訳ではない。彼も、エパルが狙われた件で内心は腸が煮えくりかえるほど怒っている。

(……今ならユウマがあの時僕に怒りを向けていたのもわかる気がするよ……自分の仲間を殺そうとした奴の仲間……しかも、カイザルクは勝手に地獄へ行った……許せる訳がないね)


 パルシアスは拳を強く握る。いつものように戦闘を楽しむつもりは毛頭無い。あるのは、報復の二文字だけ。自分の家族に手を出したらどうなるのかを目の前にいるこの男に叩き込むつもりだった。

「最後の質問……なんで、エパルを狙った?」

 彼の瞳に込められた殺意と怒り、それが炎帝に向けられる。

 そして、炎帝は目を開くことなく言った。

「それを今から死ぬお前に言う必要はあるのか?」

 その言葉がパルシアスに放たれると、鐘の音がスタジアム全体に鳴り響いた。


 ◆ ◆ ◆


 パルシアスと炎帝の攻撃は大方の予想通りに進んだ。

 炎帝の炎の弾を飛ばす魔法による攻撃。それをパルシアスが【時間之王(クロノス)】を応用した力、時戻しで時間を戻して攻撃を無効化していた。

 パルシアスの前では全ての遠距離攻撃が無かったことになる。

 彼には近距離による攻撃しか効かないというのは常識に近い。にもかかわらず、炎帝は炎弾の攻撃を繰り返す。例え何度消されても、しつこく何度も撃ち続けた。

 触れねばある程度の距離に近付かねば時戻しは通じない。だからこそ、発動することは出来る。ただ、パルシアスの近くに来た瞬間、勝手に消えてなくなるだけだ。

 だが、それはパルシアスが真っ向から受け続ければ、の話だった。


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