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52-3


 フィールドに降り立ったエパルの視界にフードを被った屈強な男が現れる。それは、今まで先鋒戦で負け無しの成績を誇っていた黒に近い赤髪の男。

 ただ、いつもより弱々しく思えた。

 いや、正確にはいつものような覇気も、活力もうかがえない。それはまるで、重傷の体を引きずり、立っているのが一杯一杯といった様子だった。

 治癒能力が高い眷族でありながら、酷い重傷を残している。それはつまり、相当な重傷をここ最近の内につけられたということだろう。

 また、昨日の戦いでは傷など見受けられなかった。つまり、昨日の戦いから、ここまでの約24時間の間に相当な大怪我を負ったということ。

 それともう一つ、エパルは疑問に思った。

 彼らはなぜ、代わりの者を用意していないのかというところだった。


 炎を司る男神といえば、四大元素の神と呼ばれる上級神だ。

 下級神と違い、覚醒した武闘派の眷族も数多くいるだろうし、準決勝という舞台でエパル相手に傷だらけの眷族を出す理由など無いだろう。ましてや、エパルの次に控えているのはファミルアーテ序列第2位のパルシアス。試合を捨てる腹づもりならば、エパル相手に全力を尽くすべきだろう。


 相手の神がどういうつもりなのかはわからない。

 時空神の眷族と女神には、対戦前、対戦後の未来予知を禁じられている。試合中に相手がどういう攻撃をするつもりなのかを確認したり、回避に活用したりすること以外は基本的に禁じられている。

 だからこそ、エパルは対戦相手に不信感を抱く。そんな彼女の耳に試合開始の鐘の音が聞こえた。

 その瞬間、エパルは特殊能力【空間之王(カオス)】を発動しようとした。

 しかし、その最中に、エパルの目に信じられないものが映った。

 対戦相手の男がおもむろに両手を挙げ始めたのだ。

 戦う意思は見受けられず、彼は上空の天使に向かって告げる。

「俺は降参だ。この中堅戦で戦うつもりはない」


 彼の発言は、準決勝一回戦目の大将戦や準決勝二回戦目の先鋒戦に続けて、観ている者を驚かせた。


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