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「………えっ?」
少女の言葉に、俺は呆然としていた。
死者からの手紙? というか、3人から手紙もらってんの?
死んだ後の世界がどういうものかわからないし、もしかしたらそういうことになっているかもしれない。ただ、少なくとも俺は父さんに手紙を書けてない。
でも、もし本当なのだとしたら
(母さんと由美と万里華からしか手紙もらえてないのかよ。……人望なかったんだな俺って)
「安心していいさ。別に君が人望なかった訳じゃない。君に特別な感情を抱いており、尚且つ、特殊な関係だった者を私が選別している。言うなれば、その手紙には、その者の本心が書かれているのさ。そして、もう1つ。その手紙を書き終わったら、その者の記憶から、私のことと、手紙のことはなくなっている。だから、君が父親に宛てて書いた手紙を覚えてないのも当然と言えるね」
さっきから、やけに俺の聞きたいことを分かってたように答えをくれるな。
心の声が丸聞こえ、とかかな?
「その通りだよ。優真君が心の中で考えていることはだいたいわかる。優真君が私の胸見て興奮しているのも含めてね」
それを言われた瞬間、肩をびくつかせるが、少女は、「別に怒ってないさ」、と言ってにやつくだけだった。
「さて、そろそろ自己紹介をしようかな。私は幼き子どもを司る女神とでも言えばいいかな。さっきのニュースで言っていたとおり、君は既に死んだ存在となっている。そして、何故君をこの場に呼んだかと言うとだね」
少女の言葉を嘘だと断言することは俺には出来なかった。
それほどまでにこの状況は異質で、信じられないことで溢れていた。
だって、どうやったら、俺は自分が死んだと伝える報道を聞くことができるというんだ?
少女は一拍置いて、次の言葉を紡いだ。
「君を生き返らせようと思ったのさ」