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 どれ程の神器を取り入れたのかはわからない。ただ、一つや二つで無いことは明らかだった。

 見るだけでわかる。キュロスは俺に対して本気で対応してくれている。最強の眷族が自分に対して手加減とか油断ではなく本気を見せている。

 その事実が心を沸き立たせる。


「十華剣式、参の型……!?」

 優真が刀を構えて、地面をおもいっきり蹴ろうとした瞬間、彼の目前までキュロスが迫ってきていた。キュロスは手刀で優真の体を斬ろうと、何も持っていない右手を構える。

(速っ!? いやでも、対応できない程じゃない!)

 優真は刀の軌道をかえ、目にも止まらぬ速さで地面を斬り裂く。

「十華剣式、花鳥風月、花の型、花玄(かげん)の舞い!!」

 それは優真が持つ唯一の防御技。斬り刻まれた地面の砂や岩は優真を守る為の楯となる。

 そしてこの技は、地王玄武と共に編み出した技だった。土は、大地は優真に味方し、どんな攻撃であっても一度は絶対に守ってくれる。

 これにより、キュロスの手刀は完全に防がれた。

 しかし、キュロスの攻撃がそれだけな筈がなかった。

 キュロスの2撃目がくる前に、土で出来た球体は瓦解し、キュロスの神速の横薙ぎが優真を襲う。

 優真も咄嗟に刀を縦に構えて、キュロスの手刀を防ぐつもりだった。当然、紅華の刃がキュロスの腕と交わった。しかし、キュロスの腕からは血が1滴も出ておらず、その事実に気を取られた優真の体を紅華ごと地面に叩きつけた。

 その威力は叩きつけられた優真を中心に亀裂が入ってクレーターが出来る程。さすがの優真もこれには痛みが表情に出る。

 しかし、優真もバカじゃない。例えどんなに痛くても、態勢の崩れた状態を維持することが愚策であることは理解していた。

 クレーターの中で優真は態勢の悪いまますぐにそこから脱出する。しかし、思った以上のダメージをもらった為、すぐに態勢を崩し、片膝をついてしまう。

(……やばすぎ……奥の手切る前に死にそう……こうなったら……)

 優真は体を奮いたたせ、キュロスに刀を構え、一部の隙もない佇まいを見せ始めた。

「ほぉ……なるほど、これはなかなか……」

 優真が目を薄目にした瞬間、キュロスが感心したような声を上げる。

 刀を前に構えた優真、彼には一部の隙もなかった。それはキュロスが攻めあぐねる程の佇まい。攻撃を放棄し、防御と回復に集中した彼を攻撃すれば、何が起こるかわからない。それどころか、最初の時よりも格段に強くなった彼に、最初のような単調な攻撃がうまく通る可能性はかなり低い。

 だからこそ、慎重に攻撃を繰り出そうとキュロスは考えた。

 しかし、その判断は誤りに他ならない。

「十華剣式、花鳥風月、鳥の型、凰鳥の構え」

 その言葉がキュロスの耳に届いた瞬間、優真の体には疲労の色も傷痕も一切ついていなかった。


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