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(……くそっ……反撃ができねぇ……)

 特殊能力【勇気】が発動していても、反撃のチャンスは一向に訪れない。止まっている時間など、ゼロコンマ数秒。その間に反撃しようにも、回避をしない限り、攻撃に当たる。そのうえ、おそらく反撃をしても、まともに踏み込んですらいないこの状況では、例え【ブースト】の効果があっても、まともなダメージは見込めないだろう。

 そんな攻撃の為に、【勇気】をきり捨てることなんて出来ない。


 優真は視界に入った時計を見て、苦しそうな顔を見せた。

(あと10分……)

 それがなんのタイムリミットであるかは言うまでもないだろう。優真にとって、唯一勝つことが出来る時間は今しかない。むしろ、【ブースト】が使えなくなれば、優真の命は蝋燭の火のように呆気なく消えることだろう。それほどまでに切羽詰まった状況であった。


「!!?」

 優真は再び止まった世界の中で、信じられないようなものでも見たかのように、目を見開く。

 先程まで、強調されるかのように光っていたキュロスから光が消えているのだ。特殊能力の発動は確認している。しかし、いつもと異なる状況に、頭が追い付かない。

 そして、結界内の時が動き出す。

 直後に訪れる衝撃、それは正面のキュロスから与えられたものではない。右の空いた脇腹に鈍器で叩かれたような衝撃を受け、優真の体は勢いのまま地面を転がる。

 そして、転がる優真の視界に、豪奢な造りのハンマーが映る。

 それを見た瞬間、ようやく察することが出来た。

(くっそ……やっぱりあの特殊能力は反則だろ!)

 地面に手をつき、体を起こす。追撃を考慮し、迅速に起き上がるも、キュロスはハンマーの持ち手を握るだけで攻撃の意思を見せていなかった。


「神器トールハンマー」

 そう呟いたキュロスはそのハンマーをハンマー投げの要領で優真に向かって投げ飛ばした。

「これに……回避は論外!」

 右の拳に力を込め、全力の一撃を放つ。

 その威力は、キュロスに放ったものよりも威力が高く、踏み込んだ地面に亀裂が走る。

 優真の拳とトールハンマーがぶつかる。そして、拮抗するまでもなく、優真の拳はトールハンマーを粉々に砕く。

 優真が息を切らしたかのように荒い息を吐く。だが、優真を襲う絶望は今の一発だけでは終わらない。

 優真が視界を正面に戻す。そして、心底辛そうな表情を見せる。

 キュロスの手には先程と同じハンマーが2本、それぞれの手に握られていた。

「さぁ、次は耐えられるか?」


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