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51-17


 天使が去っていくと、すぐに結界が再構築される。

 創造神もこの提案を飲んだということに他ならないだろう。そして、試合開始の鐘の音が結界の構築完了と同時に鳴らされる。

 しかし、キュロスと優真は互いに動こうとしない。

 キュロスの真意はわからないが、優真の動かない理由は、【勇気】で防御不可能な一撃を叩きつけるつもりだった。その為には、相手の攻撃を待つ必要があった。

 しかし、キュロスは腕ではなく、口を動かした。

「いいのか? この際だから遠慮なく殴ってくるといい。今の一撃じゃ、君に与えた一発と釣り合わんだろ?」

 その挑発的な言葉に優真の額に筋が立つ。

 確かに殴るのは苦手な方だが、それでも【ブースト】で1000倍まで引き上げた一発。並みの眷族なら死んでもおかしくはない一撃だった。

 それをバカにされたような気分がし、優真は口を開く。

「はぁ? 俺はお前から受けた攻撃をそのまま返しただけですぅ! お前の攻撃なんてその程度だったってことだよ!」

「ほう……なかなかに面白いことを言う男だ。これまでに多くの異世界転移者を見てきたが、私に対してそんなことを言った奴はいなかったぞ?」

 そう言ったキュロスの位置は、既に優真の目の前で、優真も一瞬、反応に遅れた。

「それではこいつはどうかな?」

 先程の優真と同じ、左こぶしによる腹部への一撃。しかし、キュロスは未だに知らない。

 優真が何故、『触ることの出来ぬ者(アンタッチャブル)』と呼ばれているのかを。


 結界内の全ての時が止まる。

 地を蹴った際に出た粉塵も、フィールドの欠片も、宙に舞い、停止する。先程まで動いていた筈のキュロスでさえ、停止する。

 しかし、それは一瞬の出来事。

 優真が訪れたチャンスを無駄にせぬよう、刀を抜こうとした瞬間、まるで時空神の眷族達と相対するかのように、停止空間が悲鳴をあげながら瓦解していく。

「はぁ!!?」

 咄嗟に気付いていた優真は、なんとかキュロスの攻撃を後方に下がって避けてみせた。

「ほう……今のを避けるか……なら、次を試そう」

 そう言いながら、キュロスは攻撃を再開する。そして、その攻撃が来る度に、先程と同じ現象が繰り広げられていった。


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