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「……そんなに仲良くなったんだな…」
買い物した荷物を置いてきた場所に行って荷物を回収し、アイテムボックスに入れてから家に戻ってみると、シェスカが猫耳少女に抱きつかれていた。
シェスカの頬を舐めたり、頬を擦り寄せたりとだいぶ仲良くなったみたいで良かった。
シェスカも嫌がる様子はなく、むしろその耳を触ったりと、とても楽しそうだった。
……ただ、一つだけ疑問があった。
「…………なんで、素っ裸でやってんの?」
その時点で、猫耳少女は俺の存在に気付いたらしく、顔を真っ赤にしていた。
「だ……だって、僕とシェスカの服ないんだもん」
その言葉を聞いて思い出した。
そういえば、シェスカは元々泊まる予定じゃなかったから、着替えを用意してなかったんだったか。この猫耳の子に関しては薄汚れたローブしか身に付けてなかったし、まぁ、わからなくもないか。
「……じゃあ、着てた服を着ればいいじゃないか」
「着てたお洋服はね~ちゃんと洗濯したんだよ~! 偉い偉い~?」
そう言って洗い済みの濡れた服を持ってきたシェスカ。
「シェスカすごい! 自分で着た服洗った! すごいすごい!」
「……ははは」
さすがの俺もこれには苦笑い。
いや、自分で服を洗おうという姿勢は実に素晴らしいんだけど、これってちゃんと洗えてないし、婆さんの真似してやったんなら、絶対風呂の中でやったよね?
……もしかして、服って買ってこないとない感じ!?
…………また、外行かなきゃいけないのかよ……。
シェスカが、褒めてと言わんばかりに顔をぐいぐいとこちらに近付けてくる。
……まぁ、俺の負担が減るようにやってくれた行動なんだろうし、文句を言うのはおかしいよな。
俺はシェスカの頭を、ありがとう、と言いながら撫でた。
気持ちよさそうな顔をしたシェスカを見て、興味深そうに此方を見てくる猫耳少女。
「なにそれ? ぼ……僕もやって!」
と、言われたのでやってみると、猫耳少女は頬を赤く染めながら、「なにこりぇ~、ちょ~気持ちいい~」と言いながら、抱きついてきた。
「もっと! もっと!!」
「え~、俺二人分の服買ってこないといけないんだが」
「「もっと! もっと!!」」
なぜか、シェスカまでそう言って抱きついてきた。
「勘弁してくれよ~」
「やってくれるまで離さない!」
「離さない!」
結局、粘る少女達に根負けし、10分間も撫で続けた。




