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ディジェンヌは腕を組み、体をくねらせながら相手を待っていた。
昨日、優真の姿を見た彼は、一つの確信があった。
優真という青年は、大切な女性に戦わせるくらいなら自分で戦う男、皆で協力するというよりかは、自分だけが辛い目にあえばいいと感じる眷族だ。
だからこそ、彼は先程の少女が殺されかけたことに怒り、自分との対戦に望むことだろう。
そう思い至ったことで、ディジェンヌは早く戦いたくてウズウズしていた。
そして、彼の目に人影が映る。
「あっら~? これはちょっと予想外ね~」
目の前に現れた銀髪少女の姿を見て、ディジェンヌは少しがっかりしながらも、楽しそうな顔を浮かべた。
『なんということでしょう!!? ディジェンヌの姐御に挑むは、先日子どもを司る女神様の眷族筆頭、アマミヤユウマ様に敗北した筈のメイデン様だぁああああ!!! ハナ様に続いての強力助っ人に驚きが隠せません!!!』
上のクレエラが驚いたように言うが、正直計算外だったのは否めない。それ程までに、メイデンの出場は唐突であった。
だが、彼女とは一度戦ってみたいと思っていた。
「まぁいいわ。確かに鉄の女神様も、大地の女神様同様、眷族筆頭を別の者に任せると言っていたものね。強い男に惹かれる気持ち……同じ女としてよくわかるわ~」
「…………女?」
ディジェンヌの意味不明な発言にメイデンは意味が理解できず、首を傾げる。
その態度に、ディジェンヌの眉がひくつく。
「あたしも貴女とはキャラがもろ被りだし~ここでどちらが童顔美少女かはっきりさせておくのもいいわね~」
「…………美少女?」
再び首を傾げるメイデン、その表情は何を考えているのかわからない為、本当に理解出来ていないのか、はたまた煽っているのか、その真意を知る者は本人だけだ。
少なくとも、対戦相手のディジェンヌは額に筋を浮かべ、見せていた厳つい笑顔もひきつっている。
「……そ……創造神様の命令は圧倒的な勝利、それを得る為なら殺すことも厭わないだったかしら。本当はゆっくりじっくりそのかわいいお顔を恐怖で染め上げて、二度と人前に出られないようなお顔にしようと思ってたのに残念だわ~」
「……大丈夫……あなたより可愛い自信はある」
その事実を明確に告げたかのような発言と表情に、遂にディジェンヌの堪忍袋の尾が切れた。
「ぶっっ殺すぞ! 小娘がぁあああああああ!!!!」




