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50-6


 なかなか起きないファルナの様子を椅子に座って眺める。

 何かをするでもなく時間を過ごし続けると、ふとある考えに至った。

(女神様のことならミハエラさんが知ってるんじゃね?)

 そのことに思い至った俺は、ミハエラさんの横顔をチラリと見る。

「どうかなさいましたか?」

 こちらを見ていない筈のミハエラさんは、一瞬で俺の視線に気付いた様子だった。その為、俺は少し驚いてしまった。

「あっいや……ちょっと女神様について訊きたいことがあるんだけど……」

「なんでしょう?」

 ミハエラさんはそう言うと、こちらを向いて微笑んできた。

「実はさっきこんなことがあったんだ……」

 そう前置きをして、俺はキュロスという男と出会った件とそれについて話した時の女神様の豹変ぶりを事細かに話した。

 ミハエラさんは俺の話をいつも以上に真剣な様子で聞き、口を挟むことはなかった。

 俺が話を終えると、「そんなことがあったのですか……」と一言言ってから、何かを考え込むような姿勢を見せた。

 その様子は普段の彼女とは異なっていた。見る者に口を閉ざさせる程真剣な様子で、おそらく何を言っても聞こえていないであろうことが予想できた。

 そして、数分の沈黙が部屋を支配し、ようやく彼女が口を開く。

「私は……悪い天使ですね……」

 その言葉の真意は不明だったが、その意味はすぐにわかることとなる。

「優真様、これから話す話は決して女神様のお耳に入れないでいただけると助かります」

 ミハエラさんがそう言った瞬間、彼女の右手が光を帯びる。直後に俺の体に異変が起こった。何かが欠落したような、そんな感覚に陥る。

「優真様には申し訳ございませんが、しばらくの間、神器の機能を使えなくさせていただきました」

 その言葉を聞いた俺は、すぐにタッチパネルを開こうとするが、いつもと違って、電子音もその青い画面も発生することはなかった。

「ご安心ください。話が終わればすぐに戻します。優真様は別に女神様へ害を及ぼそうとはしておりませんしね。ですが、タッチパネルを通じて、女神様にこれから行う話を聞かれると私が怒られてしまいますから……勝手なことをして申し訳ございません」

 その真剣な眼差しを見た瞬間、俺にその行動を怒る理由は無くなった。

「……俺が訊きたいことはそれくらいやばい話ってことなんだな?」

「はい。他言無用を約束していただきます」

 その言葉はお願いではなく命令だった。それを守れないのなら、絶対に話はしないとそう訴えているのだ。

「……わかった。女神様の名の下に誓わせてもらうよ」

 そう言うと、彼女は少し安心したような様子を見せる。

「それではお聞きになりたいことをおっしゃってください。私の知る範囲でなら、なんでもお答えいたしましょう」

「……では早速、キュロスって男と女神様の関係を聞かせてもらっても良いですか?」

 その質問に、彼女はゆっくりと頷く。そして、衝撃の言葉を口にした。

「女神様とキュロス様は元婚約者の間柄にあります」


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