50-5
炎の男神チームと雷の男神様チームの戦闘は、2-0で炎の男神チームが勝利を納めた。しかし、雷の男神様チームの眷族筆頭もファミルアーテに所属してるとあって、今まで圧勝していた炎帝相手にかなり善戦していた。とはいえ、炎帝に大きなダメージを与えるとまではいかず、40分の激闘の末、炎帝が勝利した。
そして、炎の男神チームの二人は、対戦相手を殺すような真似をしなかった。
「……それにしても、女神様のあの様子……さすがに気になるな……」
そんなことを呟きながら、俺はファルナの様子を伺う為に彼女のいる部屋に一人で向かっていた。
シルヴィと万里華、それにユリスティナは晩飯の用意をすると言って別れ、ハナさんはシェスカと共にメイデンさんの様子を見に行くと言って俺とは別れた。
俺もそちらに伺おうかと思っていたのだが、体を拭きに行くのだとハナさんが言ってきた為、さすがに遠慮した。なんかハナさんも来てほしくなさそうにしてたしな……。
ファルナのいる部屋の前につき、ノックを行う。すると、中から反応があった。
「どうぞ」
その言葉を聞き、俺はドアについているノブをひねって中に入る。
「優真様でしたか。お戻りになられてたのですね」
「ただいま、ミハエラさん。ファルナの調子はどんな感じですか?」
中には寝ているファルナ、そして、その傍らで椅子に座ってこちらに顔だけ向けるミハエラさんの姿があった。
俺がファルナの様子を訊くと、彼女は暗い表情を見せる。
「申し訳ございません。全力を尽くして治療にはあたりましたが、意識の回復は見込めず……ただ、意識が無いだけで治療の方は完全に終わっております」
「そうなんですね。すみません、イアロやミハエラさんに負担をかけてしまって……」
「気になさらないでください。イアロ様もおっしゃっておられました。戦闘に不向きな自分じゃ、こんなことしか出来ないから……せめて、自分に出来ることは全力で頑張るのだ、と」
「イアロが……ですか?」
「ええ、皆様が眠られた後も、ずっと力を使い続けておられました。さすがにやり過ぎな場合は止めましたが、それでも、1秒でも長く、治療しようとしておられました」
「そうなんですね。……なら、イアロが起きたらちゃんとお礼しないとね」
「そうしてあげてください。優真様に褒めてもらえれば、イアロ様もきっと喜ばれます」
そう言ったミハエラさんの表情には、どこか確信しているような感じがあった。
おそらく、イアロの心を読んでそれを望んでいるのだと知っているのだろう。
それなら、この『神々の余興』が終わったら、なんかお願いでも聞いてみるとしよう。




