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50-2


 色々なお店を回り、昼食を買い終わった俺とシルヴィは、人混みの中を抜ける。

 すると、俺の肩に誰かの体がぶつかり、その勢いのまま、俺は呆気なく尻餅をついてしまった。 

「大丈夫ですか!?」

 しゃがんだシルヴィが心配そうな表情でこちらを見つめてくる。そんな彼女に、苦笑しながら大丈夫だと伝え、俺はぶつかった相手の方を見た。

 そいつは見知った男だった。

 金髪碧眼の男性。彼は世界を創造した創世神の一角、創造を司る男神様の眷族筆頭、キュロスだった。

「ごめんなさいねぇ~大丈夫だったかしら~?」

 キュロスの隣に立っていた女性のような格好をした男性が手を伸ばしてくる。

「あぁ、すいません」

 そう言ってその手を掴むと、俺の体はあっさりと浮き上がり、ぶら下がった状態になってしまう。……どうやら見た目通りの怪力みたいだ……。

「あぁら、よく見ると中々良い男じゃなぁい」

「……あのぉ……下ろしてくれません?」

 こちらをまじまじと観察してくるその人物に、どん引きしながらそう声をかける。

「あぁら、ごめんなさいねぇ~」

 そう言うと、その人物は俺をあっさりと解放した。

 解放された俺は謎の危機感を感じ、数歩後退する。

「あらぁ~怯えさせちゃったかしら~」

「あ……いえ……なんというか……すみません。こちらの注意が散漫だったみたいで……」

 そう言いながら、先程から一言もはっさないキュロスに向かって謝罪する。しかし、キュロスは威圧的な視線を向けてくるだけで、言葉を発そうとしない。そのせいか、隣にいるシルヴィが完全に怯えている。

「あらあら、気にしないで~。あたしはディジェンヌ、そちらの坊やは末長くよろしくねぇ」

 ここでよろしくしたくないですなんて口が裂けても言えない。それに今ようやく気付いた。雰囲気が違いすぎて全く気付かなかったのだが、この女性口調の男性も、試合の中堅として出ていた眷族だ。要するに彼は、創造神様の眷族、しかも、『抱擁する者(ベアーハグ)』だ。

 なぜ、創造神様の眷族No.1とNo.2がここにいるのかは知らんが、あまり関わりあいたくないというのが、本音だ。

 なにせ彼らは、俺達の次の対戦相手なのだから。


「行くぞ、ディジェンヌ」

 どうやって離れるべきかで悩んでいると、キュロスがディジェンヌにそう声をかけ、俺の隣を通り過ぎる。

 そして、立ちすくんでいる俺にこう言った。

「貴様にあの方は相応しくない」

 その意味がわからない言葉に、俺は振り返って意味を訊こうとするが、そこに二人の姿は既に無かった。


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