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「な……なんでエパルがここに!!?」
俺がつい出してしまった大きな声で、全員がその少女の存在に気付いた。
目の前で人のジュースを美味しそうに飲んでるその少女は、それに気付き、笑顔を返してくる。
だが、俺はとても笑顔を返せるような状況ではなかった。
何故なら、既に破壊神様の眷族がフィールドで対戦相手を待っているからだ。
「やっぱりみかんジュースは美味しいのぅ~」
そんな呑気なことを言っているエパルに次の言葉を発そうとした瞬間、ある場所から強烈な圧を感じた。そちらの方を目だけで見てみると、その光景に冷や汗を流すことしか出来なかった。
エパルも、俺の異変というか空気の変調を察してか、俺と同じ方向を向いた。しかし、彼は既にそこにいなかった。
彼はエパルの背後に立っていた。
「ねぇ、エパル」
エパルはその声にびくつき、ゆっくりと振り返る。
そこには怒りの感情しか伝わってこない笑顔をこちらに向けているパルシアスが立っていた。
「パルシアス!? ち……違うのじゃ、これは! これはなんていうか……そう! ユウマに誘われたのじゃ!」
「はぁ!?」
エパルの意味不明発言で巻き込まれて大声をあげてしまう。
その発言は下手したら創世神と呼ばれる時空神様に、怒られかねない内容だった。
そんなことになったら何されるかわかったもんじゃない。急いで自分は無実だと訴えようとするが、その前にパルシアスが口を開いた。
「ユウマがこんな大事な時に僕らの邪魔をする訳ないだろ! 変な嘘言う暇があったらさっさと行ってこい!!」
そう言ったパルシアスはエパルを掴んで、上空に投げ飛ばした。
投げ飛ばされている間に、エパルの悲鳴が聞こえてくるものの、すぐにその悲鳴は消えることとなる。彼女の姿が上空で消え、直後にフィールドで尻餅ついているエパルの姿が現れたからだ。
その光景に目を奪われていると、パルシアスに声をかけられた。
「迷惑かけて悪かったね」
彼はその言葉を残し、姿を消した。




