49-7
準準決勝第3回戦は、先鋒戦から大盛り上がりだった。
その時間は大半がトキネという時空神様の眷族が、アクロバティックな動きでナイフを放るというものだったが、結果は彼女の大敗。
ユウキという破壊神様の眷族に最後まで奮戦するも、最終的に心を壊され気絶。戦闘続行は不可能と見なされ、先鋒戦は破壊神様に軍配が上がった。
同郷らしいので、彼女の方を応援していたのだが、相手の方が一枚も二枚も上手だったようだ。
「そろそろ中堅戦が始まりそうですか?」
飲料を片手に戻ってきたシルヴィがそう聞いてくる。
「もうそろそろだと思うよ。ごめんね、二人に買ってきてもらっちゃって……」
「いえ、お気になさらないでください。買ってくると言ったのは私達ですので」
「そうだよ。優真は昨日の戦闘で疲れてるんだし、明日は最強の男との対戦なんだし、このくらいは任せてよ」
二人はそう答えると、シルヴィはそのまま俺の右隣に座り、共に買ってきた万里華が俺の左に座る。
「シェスカのは! シェスカの分のじゅーすは!」
戻ってきた万里華は、早速シェスカにジュースをせがまれていた。
「はいはい。シェスカちゃんの分のジュースは優真お兄ちゃんにもらってね~」
笑顔でそう答える万里華から目を放し、シェスカはこちらの方を見てくる。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん! シェスカね! ぶどうのがいい!」
「妾はみかんのやつじゃぞ!」
二人に服を掴まれ、体を揺すられながら、俺はアイテムボックスの中身を確認する。そこには、ここにいる人数分のジュースが入っていた。
「はいはい、ちょっと待っててな~…………ん?」
2本のジュースを取り出した瞬間気付く。オレンジジュースは自分以外誰も頼んでいないはずだ。
しかし、違和感を感じた時には既に手遅れ。2本のジュースは二人の子どもに奪われてしまう。
一人は、万里華が選んでいた服に身を包んだシェスカ。そして、もう一人は和風の姫を連想させるような服を着た白髪の少女だった。




