49-2
優真達一行は数人を除いたメンバーで準準決勝第3回戦を観戦するために、観客席へと足を運んでいた。
そんな折、隣の席に座っていた万里華が話しかけてきた。
「優真はこの試合、どう見るの?」
だが優真は、その質問に即答することが出来なかった。
今までの試合では、双方共に全力を出しているようには思えなかった。そのうえ、ここまで創世神の眷族達は全戦全勝で、眷族筆頭のパルシアスとバラドゥーマが出た試合は1試合程度。
バラドゥーマの戦闘スタイルを知らない優真には、どちらが勝つか断言出来なかったのだ。
「……それは俺よりもハナさんの方が詳しいんじゃないかな?」
優真がそう答えると万里華の隣に座っていたハナが反応した。
「うーん……パル君とバラドゥーマが戦ったら、バラドゥーマの方が不利かなぁ……バラドゥーマは良くも悪くも真っ向勝負だから……一応前回、私もバラドゥーマには勝ったけど……あれは特殊能力の相性が良すぎたからな~ちょっと参考には出来ないかも……」
「その前回ではバラドゥーマとパルシアスが戦闘することは無かったの?」
「無かったね。前回は私達と時空神様の眷族達、創造神様の眷族達と破壊神様の眷族達で準決勝だったから、そもそも機会が無かった感じだね。それに、他の眷族4人も100年前とは違う感じだし……ごめんけど私にも予想つかないかな」
「いやいや、そこまで知れたなら言うこと無いよ。ありがとう、ハナさん」
優真の感謝の言葉に、ハナは嬉しそうにもじもじし始める。
そして、そんな話をしていると、既に二人の人物がフィールドに立っていた。おそらく、先鋒戦に出る二人だろう。実況役の天使クレエラは既に説明を終えており、間もなく試合が始まる旨を伝えていた。
◆ ◆ ◆
フィールドに立ったのは白い髪の身軽そうな格好の女性と、鎖のついた鉄の枷を両手両足に着けた1角の金髪女性だった。
「初戦はやっぱりトキネちゃんかい? まぁエパルちゃんじゃないだけマシかねぇ」
金髪の鬼人が口角を吊り上げて尋ねる。だが、白髪の女性にはその言葉の真意がわからなかった。
「そうなのですか? ユウキ様は基本的に強者との勝負に拘っておられましたので、てっきりエパル様、もしくはパルシアス様をご所望なさるのだとばかり……」
「いやいや、さすがにパルシアス君が来るなんざ期待しちゃいないよ。あの子はうちのダンナの獲物。むしろ、来て欲しくないくらいさ……まぁ、エパルちゃんは一言、これに尽きるねぇ、戦いにくいから、そもそもあたいは当たりたくない。だから無難に先鋒戦を選ばせてもらったよ」
「なるほど……でしたら、ご期待に応えられるように私も頑張りたいと思います」
時空神の眷族、トキネがそう答えた瞬間、スタジアムに鐘の音が鳴り響いた。




