49-1
メイデンさんとの戦いから一夜が明けた。
帰ってから一晩中彼女の傍に居たが、結局彼女が目を覚ますことはなかった。
「……下に降りるか……」
壁にかけられている時計を確認すると、6を指し示しており、朝食を摂るために降りようと思った。椅子から立った瞬間、体のあちこちが痛い。
結局一睡も出来てないうえに、昨日の戦闘で負った傷が完治出来ていない。
「イアロかミハエラさんに治療してもらえたら、少しは痛みがひいてたかもな……」
しかし、それは叶わない。
ミハエラさんとイアロは、昨日気を失ってしまう程の重傷を負ったファルナを交代で治療している。万里華が眷族となって治療能力が無くなった以上、二人以外にファルナを治すことは出来ない。
「飯前にファルナのところにも顔出すか……」
そう言って、目を覚まさぬ少女を一瞥し、俺は部屋から出た。
◆ ◆ ◆
この日、1月8日は準準決勝の中でも大注目とされている試合が行われる。
創世神の一角、破壊を司る男神、破壊神の眷族筆頭、ファミルアーテ第4位のバラドゥーマが率いる眷族達と同じく創世神の一角、時間と空間を司る女神、時空神の眷族筆頭、ファミルアーテ第2位のパルシアス率いる眷族達による戦いが行われるのだ。
下馬評では、パルシアス有利と出ているが、それはパルシアスとバラドゥーマが戦ったらの話である。ましてや、二人が戦うかどうかすらも確定した訳ではない。
破壊神、時空神、共に神としてもたらす恩恵は最高クラス。
その2神のもとに集い、選ばれし者達も他の眷族達とはレベルが違う。
だからこそ、この勝敗は誰にもわからない。
だからこそ、この試合は神々にとって最高の余興となる。
さぁ、始めよう!
『神々の余興』準準決勝第3回戦という名の争いを!!




