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優真が案内されたのは、普通の客間だった。
調度品の代わりに鉄で出来た武器が飾られている。
ソファーに座るよう促された優真は、カリュアドスの正面に腰掛けた。そんな優真とカリュアドスの前に、先程の天使が紅茶の入ったティーカップを置いてきた。
「先程は申し訳ございませんでした」
頭を深々と下げて謝ってくる彼女に、優真は笑顔で気にしていないと伝える。そして、カリュアドスの言葉で彼女は、部屋から出ていった。
「いいんですか? 通すなって鉄の女神様にいわれてたんでしょ?」
「構いませんよ。メイデン殿の命の恩人を追い返すなんて真似は出来ません。それより、あれからメイデン殿は目を覚まされましたか?」
その質問に、優真は飲んでいた紅茶をテーブルに置く。
「らしいですよ。俺達が創造神様チームの試合を見ている時に一度だけ……ただ、それ以降は眠り続けたままです。ミハエラさん……うちの天使が言うには、力を暴走させた影響が出て、体を休めているんじゃないか……とのことです」
「まぁ、そうでしょうね。いくら彼女が強いとは言っても、あれほどの力を使って数時間で完治は無理でしょう。1日も休めば、いつも通り……とはいかないでしょうね……」
「そうですね……」
優真とカリュアドスの間に長い沈黙が流れる。
鉄の女神に追放されるという形で、子どもを司る女神の眷族になったメイデンが、何も思わないとは思えないのだ。
「……まぁ、彼女の精神的な問題に関しては、優真殿とそちらの陣営にお任せするといたしましょう。お時間を取らせましたね。女神様の元へ案内致しますよ」
そう言って立ち上がるカリュアドス。そんな彼に、優真は飲みかけの紅茶を一瞥してから、ありがとうございますと伝えて立ち上がる。
こうして二人は、鉄を司る女神の部屋へと向かった。




