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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
48章:実習生、思いを抱く少女と戦う
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 頭に痛みが走って、ぼんやりとした意識の中に人の顔を見た。

 そこには若い女性と男性がいた。今思えばこちらを心配していたんだと思う。それがわからない程、私は気が動転していた。

 こちらに手を伸ばしてきた女性を見た瞬間、私の手は腰につけられていた剣の柄を握っていた。

 そして、真紅の液体が視界に広がった。


 乗っていたであろう馬車から転げ落ちるように降りた。

 足に力が入らない。込み上げてくる吐き気を抑えられなかった。

 服に付いた真っ赤な斑点。

 そこで気付いた。自分の格好があの時着ていたボロボロのドレスではないことに。

 動きやすそうな格好で、どちらかというと、少しみすぼらしかった。

 訳がわからなくなるが、自分の喉が渇いていることを自覚した瞬間、それは後回しにした。

 辺りを見回してみると、近くに川を見つけて、そのおぼつかない足取りでそこに向かった。


 水を飲もうと川に近付く。

 手で掬い、透き通った水を口元に持っていき、喉に流し込む。

「……美味しい……」

 もう一杯飲みたくなって、再び川に手を突っ込んだ。そして、私は目を見開いた。

「……これ……誰?」

 水面に映った自分の顔は以前と違った。それどころか、声も違う。

 訳がわからなくなってきた私は、自分のポケットに何かが入っていないかを確認して、1枚のカードを見つけた。

『メイデン・クロムウェル』

 そのカードには見知らぬ名前と、Fの文字が刻まれていた。

 見たことない文字の筈なのに、不思議とそれが読めた。


「まったく……せっかく幸せな暮らしを望む貴女の要望に応えたというのに……不運な子ですねぇ……」

 聞き覚えのない声が聞こえて、私は慌てて後ろを振り返った。そこには、銀色の髪をオールバックにした壮年の男性が立っていた。


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