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条件が揃わないと最強になれない男は、保育士になりたかった!  作者: 鉄火市
48章:実習生、思いを抱く少女と戦う
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48-30


 優真はメイデンから大きく距離をとった。

 とはいえ、中心近くから動かない彼女からしてみれば、結界ギリギリまで距離をとっても、そこまで大差はない。

 そして、優真に一呼吸置かせる時間すら与えない。

 彼女の体から伸びる銀色の太い茨が一瞬で優真に届く。だが、優真はそれを完全に見切っていた。

 何を思って優真が距離を取ったのか、最初の内は誰にもわからなかった。だが、先程までと異なり、明らかに余裕が出ていた。


 優真だって体力が無限にある訳ではない。

 体に負ったダメージを回復する暇もくれない彼女との戦いは、思った以上の負担を優真に与えた。だからこそ、優真は彼女から距離を取ることで、体力を少しでも多く回復することにした。

 ゼロコンマ数秒しか変わらない間隔ではあったが、優真にとってはそれでも充分だった。傷を治すとまではいかないが、乱れた呼吸を正すことくらいは出来た。

(今の状態なら、10分もあれば怪我もろとも全快出来そうなんだけどなぁ……脇腹痛い……)

 そんなことを思いながらも、優真はどうやって彼女に近付くかを考える。


 あの銀色の茨は、彼女の意思で動いている感じだった。

 俺を見失った数秒で攻撃していなかったのが証拠だ。もちろん、ブラフの可能性も充分に考えられるけど、冷静さと理性飛んでる状態でブラフがあるとは考えにくい。可能性はあるとだけ頭に入れておこう。だが、今は茨の数が少ないから問題無いけど、近付きすぎると対応しきれない可能性もある。不意をつけた機会を逃したのは痛いな。


「だけどまぁ……そろそろいけそうだな……」

 そう言った優真は目の前に迫る茨を見て、刀を構え直す。

「十華剣式、弐の型……白百合の舞い!!」

 その言葉が優真の口から放たれた瞬間、優真の体を銀色の茨が貫いた。


 ◆ ◆ ◆


 その凄惨な光景を見て、シルヴィは顔を真っ青にして口元を手で押さえた。

 今まで目で追うのも難しかった攻撃が、止まった。

 シルヴィの目から一筋の涙が地面に落ちた。

 足に力が入らず、シルヴィは崩れ落ちる。

 しかし、その次の瞬間、彼女の霞む視界から優真の姿が消えた。

(…………え!?)

 その光景に言葉が出ないシルヴィ。だが、驚くべき光景はまだまだ続く。

 なんと、優真の姿があちこちに現れたのだ。

 さすがにこの光景は、優真がまだ死んでいないと確信していた子どもを司る女神とファルナを治癒中の天使ミハエラも驚いたような表情を見せた。


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