48-21
「……やばっ!?」
剣と刀がぶつかる音が鳴り響くと、刀が弾かれ、優真は勢いよく地面を転がった。だが、転がる最中、メイデンが距離を詰める為に、地面を蹴るのが一瞬見えた。
そこで優真は、地面に肘を当てて、体を衝撃で浮かせて体勢を直しにかかる。立つまではいかないまでも体を起こすことにはなんとか成功し、容赦ない一撃を振るうメイデンの攻撃を間一髪でかわしてみせた。
弾かれてしまった刀がどこにあるのかを瞬時に確認するも、手を伸ばせば取れるような場所ではなかった。
そして、本気で優真を倒そうとしているメイデンがこの機を逃す筈がなかった。
手に握った十字架を再び優真に投げつける。
刀のない優真に、その攻撃を対処する術はない。
砕こうにも斬ろうにも肝心の刀がない。手刀を試すという考えが一瞬過るも、生身で触って呪縛される可能性が0でない以上、すぐにその考えを頭から追い出した。
「……こりゃ諦めるしかないか……」
悔しそうにそう言った優真は、迫りくる十字架を全て避けてみせた。
十字架が沈んだ場所をしっかりと確認しておきたかったが、十字架を避けきるのと同時に、メイデンが2本の剣で襲いかかってきた。
それも避けはしたが、攻撃が一回でやむ筈がなく、変わることなき表情で繰り出されるメイデンの連続攻撃を優真は紙一重で避け始めた。
◆ ◆ ◆
防戦一方になってしまってからどれくらい時間が経ったのか、優真にはわからなかった。繰り出される剣の速さは尋常じゃないが、麒麟の雷撃を受け続けてきた優真には、見えない速さではない。避けるだけなら、なんとかなった。だが、反撃する隙がまったくないので、避けはできても、打開することはできないでいた。
体力に関しては問題ないが、試合時間は、先の2試合が早く終わったことで残り約1時間半。今のところ問題はないが、伸びれば伸びる程、互いに利がなくなってくる。
だが、メイデンが優真の【勇気】がどういうものか知っている以上、距離を取るとは考えにくかった。
「……あんまり使いたくない手だったんだが……迷ってる場合じゃないな……」
その不穏な発言に、メイデンは剣を振るうスピードを上げた。だが、メイデンの剣は2本とも優真の手によって止められた。




