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「大丈夫! 優真ならきっと勝てる!」
その言葉には力があった。
絶対に勝つ。優真なら絶対に勝ってふてくされたメイデンを引きずって笑顔で戻ってくる。そう信じている顔だった。
その揺るぎない自信が、ユリスティナの不安を拭いさっていく。
「そう……ですね! ユウマ様はメイデン様と向き合う為に特殊能力を使用しないと決めたんでしたよね! でしたら! ユウマ様には何か秘策があるということなのですよね!」
元気を取り戻したユリスティナは、万里華にそう言うと、万里華と共に優真の応援を再開した。
だが、他の皆が応援する最中、ハナだけは不安な顔を見せたままだった。
ハナは知っている。メイデンがファミルアーテに選ばれなかった理由が、100年前の決勝トーナメント初戦で、本気の自分と戦って惜敗したからだということを。
◆ ◆ ◆
優真とメイデンの戦いは激化していた。
剣と力による純粋な戦いを経て、メイデンは【処刑道具召喚】を使用し、優真も十華剣式という独自の剣技で対応するという戦いになっていた。
メイデンの【処刑道具召喚】は、彼女の主神、鉄の女神が面白半分で造った処刑道具を取り出す能力だ。
優真が使用できるタッチパネルのアイテムボックスと似た機能だが、大きく違う点がいくつかある。
まず、アイテムボックスと違い、物を出し入れ出来ない。メイデンの意思で生み出し、消える。それが【処刑道具召喚】の強みでもあった。
主神の天界を置き場として使用し、そのうえ、出すものをいちいち選択しなくてはならないアイテムボックスは多様性という利点がある。だが、メイデンの特殊能力は一度召喚すれば、それ以降好きな数を出せる。
要するにメイデンは、その手がある限り【処刑道具召喚】で一度召喚した物を無限に召喚できるのだ。
当然、鉄の女神特製なので純度100%の鉄製である。
「……【処刑道具召喚】解放! ……裁きの十字架……」
メイデンは特殊能力で生み出した小さな十字架を出現させ、優真に向かって放った。だが、優真はそれがなんなのか知っている。
「さすがにそれを見逃せないよな……肆の型、紅薔薇の刺!!」
優真は瞬時に刀を構え直し、突きの構えをとる。そして、迫りくる十字架目掛けて、鋭い突きを繰り出した。
そして、連続で繰り出された強烈な突きにより、全ての十字架が光の塵となって消え去った。




