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「……も……もうやめてくれ……俺っちは……もう……」
尻餅をつきながら後退りをしている男は、青ざめた表情で目の前に立つ男を見る。必死に懇願し、手を振りながら距離を取るが、男の近付くスピードの方が圧倒的に速く、青ざめた男は、胸ぐらを掴まれ、怒った顔を至近距離で向けられた。
「てめぇみてぇな雑魚が眷族筆頭とは……雨の女神様は随分と甘ちゃんなんだな~……あぁ?」
「悪かった……本当に悪かった……ほんの冗談のつもりだったんだ! ……人間が破壊神様の眷族筆頭なんてくそみたいな状況に苛立ちが抑えられなくて……それで……」
「……反省してれば無事返そうと思っていたんだがな……」
その言葉を男が呟いた瞬間、胸ぐらを掴まれていた男の顔が右手で鷲掴みにされる。
「……壊れな……」
悲鳴をあげながら自分の腕を引き離そうとする男を見て、バラドゥーマは怒りを思わせる表情を見せながら、そう呟いた。
次の瞬間、腕を掴んでいた男の腕が、急に力を無くし、だらりと下がる。そして、その腕を伝って、赤い液体が地面に滴り落ちる。
男はもう動かない。
バラドゥーマがまるでゴミを投げ捨てるかのように男を放り投げて解放するも、男は言葉を発することをしない。いや、しないのではなく出来ない。
上級神の眷族筆頭を相手に、特殊能力や武器の類いを一切使わないで殺す。これが創世神の一柱、破壊を司る男神の眷族筆頭『拳聖』バラドゥーマ・ヴァラクであった。
そして、破壊神の眷族筆頭バラドゥーマがここに勝利を納めたことで、準準決勝に出場する神々が出揃った。
準準決勝第2回戦
現ファミルアーテ、海洋を司る男神チーム
VS
現ファミルアーテ、創造を司る男神チーム
準準決勝第3回戦
現ファミルアーテ、時間と空間を司る女神チーム
VS
現ファミルアーテ、破壊を司る男神チーム
準準決勝第4回戦
炎を司る男神チーム
VS
現ファミルアーテ、雷を司る男神チーム
そして、明日の初戦という大事な試合を飾る準準決勝第1回戦
鉄を司る女神チーム
VS
子どもを司る女神チーム
以上8チームによる準準決勝が次の日から行われるのであった。




