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半年のペナルティー。そんなものは自分を磨く為だけに使った。食事の世話や身の回りの手伝いを任せられ、優真に会える日を待ち望みながら頑張った。
でも、私が降りられるようになった時には、優真の隣には別の人が居た。
優真の好きな人。優真が誠実な人だと知っているから、私に可能性はもうない。女神様が作ってくれたチャンスはもうないんだとわかったら心が折れそうになって、でも、諦めることなんて出来なかった。
絶対に奪う。
そう思ってやった行動は、誰も幸せにはしなかった。
会った直後にキスをするも、それは自己満足に過ぎず、優真を非難させてしまった。優真の気持ちは揺るがない。それを早々に覚ってしまった。
もう無理なんだ。
そう思っていた私に、女神様がチャンスをくれると言ってきた。
『ハーレム計画』
優真の傍に居続けることが出来る唯一の方法。ただし、それを受けるには、優真の周りに女性を集めることを許容しなくてはならなかった。本当は心の底から嫌だった……でも、迷わなかった。
じゃなきゃ、私は何も出来ずに消えるのだから。
そして、優真が私の告白を受け入れてくれたあの日。
もし駄目なら消えよう。そんな気持ちで挑んだ一世一代の告白を、優真は受け入れてくれた。心の底から何かが沸き上がって、優真と過ごす日々が煌めいて見えた。
それなのに、今日優真が記憶を取り戻した。
あの日失った記憶を……私に優真の心を覗く術はない。優真が本当はどう思っているのかがわからない。そして、女神様に教えられた。優真に自分の全てを知られるという条件が、自分の過去を知られるものなのだと。
残り1ヶ月。結婚してからでも間に合うと思っていたお願いが、最悪なものなのだとわかってしまった。
私が本当は性格の悪い女だとばれてしまう。自分の隠しておきたい過去を全て知られてしまう。
せっかく後少しだったのに……私の全部を見たら拒絶されてしまう。
嫌だった。最後の最後に拒絶され、大好きな優真に悪女だと思われたまま存在を消されるなんて……耐えられなかった。
自分の左手の薬指にはまった指輪が、私の大切な大切な宝物が奪われるなんて……耐えられなかった。
……だから、優真達が自分を好きで居てくれる今の内に、黙って皆の元から消えようと思っていた。




