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「未来予知って、確かパルシアスが使ってたやつですよね? あれって魔法だったんですか?」
「はい。優真様のおっしゃる通り、パルシアス様の未来予知は時空神様の眷族のみが使える魔法でございます。本人の適正によって見れる範囲は異なりますが、本来の用途は天使マリカが言ったように数秒先を見て危機を回避するものになります。しかしながら、創世神の3柱は信仰者をつくりません。なので基本的に魔法を見ることは無いのですが……おそらくファミルアーテ序列第5位になった時、眷族筆頭のお三方が使う魔法を見る機会があったのかもしれません」
「……なるほど……それは確かに厄介そうな相手ですね……」
ミハエラさんの教えてくれた内容は思っていた以上に厄介なものだった。
ただでさえ、他の神々の魔法が使えるという頭おかしい能力だというのに、時空神様の魔法、未来予知とテレポートが使え、更には創造神様と破壊神様の魔法まで使えるとか……ずるすぎだろ……。
「……まさかハナさんが負けるなんてことは……いって!?」
その言葉を口に出した瞬間、脛に強烈な痛みを感じた。
「君が信じてあげないでどうするんだ! 見なよ! ハナちゃんが勝ちを諦めたような顔をしているか?」
涙目でかがむ俺に、怒った顔の女神様が説教し、画面を指差す。そこには、今も魔法攻撃を防ぎながら、必死な顔で戦っているハナさんの姿があった。
「……だよな。ハナさんがこの程度で負ける筈無い……彼女ならきっと、笑顔で勝利の二文字を持って帰って来る!! ……ごめん女神様……俺、信じて待つよ!」
表情が変わった眷族の姿を見て、腕を組んでいた女神は満足気な笑みを優真に向けた。
◆ ◆ ◆
この特殊能力を使うと、自分が本当に愛されていたんだってわかる。
大好きな女神様に愛でられ、大好きな姉妹達と共に過ごしたあの日々が自分の大切な思い出。
だからこそ、自分には罪悪感もある。
最後の最後に女神様へ恩返しが出来なかった。出来れば、最後まで悔いの無い戦いをして、女神様に自分の最大限をプレゼントしてあげたかった。
でも叶わなかった。見ているだけで何も出来なかった。
そんな私を、女神様は送り出してくれた。私の幸せを……家族は願ってくれた。
……だから私は、私を支えてくれた皆の為にも、ここで勝つ。
「……限界点解除」




