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46-14


「……他人の特殊能力が使える? そんなん勝ち目あんのかよ……」

 優真の動揺を見て、天使ミハエラは首を横に振った。

「おそらく、優真様が考えているほど、イルジョネア様の特殊能力は万能ではありません。正確なところは機密情報で知りようが無いのですが、イルジョネア様の特殊能力はどうやら同じ主神の眷族が使える特殊能力に限定されており、なおかつ威力も本家に劣るとか……なので、彼女に勝った者も少なからずおります。しかし、ファミルアーテの第5位の席に座る彼女の特殊能力が強いのは、そこではありません」

「……それが魔法複数発動に関係してくるんですか?」

「はい、優真様のおっしゃる通り、イルジョネア様は複数の魔法を発動する事ができます。これに関しては当人が能力の開示を行っているので正確な情報があり、なんでも、イルジョネア様は一度見た魔法を魔力の底が尽きぬ限り、無限に使える。それが【幻鏡(ミラージュ)】のもう一つの能力でございます」


 ◆ ◆ ◆


「……いったいどういうつもり?」

 風魔法で辺り一帯の煙を消したイルジョネアを見て、ハナは不審を抱き、彼女に問いかけた。

「単純な話よ。よくよく考えてみれば貴女との戦いをこんな煙で隠すなんてもったいないじゃない? せっかくならハナの最後の勇姿を皆に見てもらわないとね」

「余裕そうね……」

 そう言うハナだったが、イルジョネアの手に握られた杖を見て、小さくため息を吐いた。


 神器マギア。魔法詠唱を省く効果と魔力の倍加、他の神器に比べて特別強いとは言えないが、イルジョネアが持つと厄介極まりない神器だ。

 それを見て、自分も覚悟を決めなくてはならないのかとハナは、自分の何も持っていない手を見る。

 そんなハナにイルジョネアがいきなり話しかけてきた。

「それにしても愛や恋も知らなかったハナに男が出来るとはね~! お姉さん驚かされちゃったわ~」

「へへんだ。ユウタンはね~他の連中には無い魅力があるんだよ! まぁ、あの御方の操り人形にはわかんないだろうけどさ!」

「言ってくれるじゃない……確かに昨日は遅れをとったけど、所詮キュロス様やパルシアス様には遠く及ばないわ」

「甘いね! 力を目覚めさせたばかりの状態で私を屈伏させたユウタンなら、私やあんたが長年行けなかったあの領域に絶対辿り着ける。なんならこの前のパル君との模擬戦で足を踏み入れてるかもね!」

「……あんな青臭い坊やが? ……なるほど……ハナがあの坊やを魅力に思ったのもわかるわ」

 その言葉に、ハナは「ちっちっち……」と言いながら指を振る。

「ネアは何にもわかってないな~……それだけで私がユウタンを好きになる訳無いじゃん! ただ強いだけならパル君を選んだって良かったもの」

「確かにそうね。じゃあキュロス様やパルシアス様には無い魅力をあの坊やが備えているって訳ね……」

「うん……だから私もメイデンも、ユウタンに惹かれたんだよ! 数百年間座り続けた地位や名誉をかなぐり捨てたって、私はユウタンの隣にいたいと思っちゃったんだよ! だから、もう迷わない。私はユウタンとその幸せの為に全力を尽くしてあんたに勝つ!!」

 そう宣言したハナの手に一つの武器が握られていく。

 それは、緑色のしなやかな鞭だった。

「神器アナプティクシ……私は世界で唯一特殊能力を3つ持つ存在……大地の女神様より与えられし【成長】の力……その身で味わいなさい!」


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