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46-12


「…………は? えっ……ハナさん? ハナさんに行けって言ったの? 俺は?」

 一連の流れについていけずに訳がわからなくなった優真に、子どもを司る女神がやってやったぜと言わんばかりのどや顔を向ける。

「ふふん。優真君を中堅線に出せば相手の思う壺だからね。出来ればハナちゃんはあの方相手に温存しておきたかったんだけど……優真君をあの腹黒女の対戦相手に出すくらいなら秘密兵器くらい切ってやるさ!」

「いや……え? ハナさんって俺達の戦いに巻き込んじゃっていいの? いくらなんでも反則なんじゃ……」

 優真が懸念しているのはハナが数日前まで大地の女神の眷族筆頭であり、ファミルアーテの第3位という地位にあったからだ。いくら眷族になったとはいえ、普通は許されないんじゃないかというのが優真の見解だった。しかし、それは杞憂だった。

「この大会は『神々の余興』だよ? その名の通り、神々を楽しませる為の催しだ。しらけさせるような真似事をしない限り、殺しだって許容される。一応、脅迫とかで無理矢理参加させたり、本人と主神の承諾が必要だったりするけど、それさえ通らせれば何の問題も無し! ……ただまぁ、元々予定に無かった3人以外の場合はたった一度しか参加を許せないから、本当はこんなところで出したくないんだけど……本人の強い要望があったし、優真君が万全じゃないからね。オッケーしちゃった」

 女神の楽しそうな表情から、優真はこれ以上何を言っても結果は変わらないのだと覚り、諦めて画面を見始めた。


 ◆ ◆ ◆


 特殊能力【大地渡り】でフィールド内に一瞬で現れたハナに、会場中が騒然となる。

 そして、そのことを予想出来なかったイルジョネアの表情には明らかな動揺が伺えた。しかし、いつものハナと違い、怒りの感情をこちらに向けていることで、イルジョネアは少しだけ冷静になれた。

「……面白いことしてくれますね、アマミヤユウマ」

 イルジョネアは誰にも聞こえぬ声でそう呟くと、ハナの方に目を向けた。

「いいの、ハナ? 私はあの御方に勝つよう命じられたのよ? よりにもよって大地の女神様の眷族筆頭が逆らっていいのかしら?」

 その言葉に、ハナは素っ気なく答える。

「別に。もう私、大地の女神様の眷族筆頭じゃないし……あの御方がどんな命令を下そうと私がそれに従うつもりはないわ。そんなことより、私、ネアにどうしても聞きたいことがあるんだ」

「あら、何かしら?」

「ユウタンの夢に入ったんだって? あんた……よく自分を脅かす男の夢に入って自分の虜にしてたよね? ……ユウタンに何したの?」

 ハナの静かな怒りに自分の興奮が治まらない。そして、ハナと優真の関係がどういうものかをその言葉で理解したイルジョネアは不敵な笑みを浮かべる。

「……ふふ……なるほど……あの坊やはハナの男って訳? なかなか楽しい一夜を過ごさせてもらったわぁ……あの坊や……なかなか良かったわね」

「へぇ……ちょっと本気出そっ」

 怒りの含まれた言葉がハナの口から発された直後、試合開始の鐘の音がスタジアム全体に鳴り響いた。


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